page90 甘い香り ページ42
ーヒロsideー
「はーぴーはーぴーはぴーなるー」
今日のAちゃんはなんだか調子がいい気がする。この陽気な曲のせいかもしれないけど…
衣装を決めた日からしばらく練習を積み、なんとか形になってきた。Aが毎日頑張ってくれているおかげで大会には余裕を持って挑めそうだ。
ヒロ「うん!じゃあ終わりにしようか。」
A「あっはい。」
片付けをしようとすると、珍しくAに話しかけられた。
A「あの…ヒロさん達は、お花見とか…しないんですか?」
ヒロ「お花見?」
そういえば、お花見なんて何年もしてないな。プリズムショーに夢中になっているうちにいつも散っちゃってるし…
ヒロ「うーん、そうだね。中学くらいまではしてたかも。」
A「そう、なんですね…」
Aは少し悲しそうな顔をした。
ヒロ「どうしたの?急に。」
A「桜が…綺麗な公園があったんです。もう半分以上散っちゃってますけど…」
公園…てことは…
ヒロ「この間の公園?」
A「…はい。」
いつの間にかAの行きつけになっていたあの公園は、ヒロも何度か行ったことがある。確かに春になると桜が咲いていた。
ヒロ「お花見したかったの?」
A「えっ、いやその…」
恥ずかしさからか、Aはうつむいた。
A「まぁ………はい…」
うつむいてても分かるほど赤くなっていたAを見てヒロはくすくすと笑った。
ヒロ「あははっ。素直でよろしいっ。お花見かぁ…学園の所の桜なら、咲くの遅いから4月あたりまで咲いてると思うけど。それでいいかなぁ?」
A「学園…?」
ああ、そうか。行ったことないもんね。
ヒロ「俺達の行ってる学校だよ。ここからすぐだし、行きやすいよ!」
A「学校…」
表情は変わらないが、わずかに瞳の奥が輝いたのが分かった。
ヒロ「ふふっ。カヅキ達にも聞いてみるね。…ん?」
Aの近くにくると、少しだが甘い香りがした。
これはケーキ…?お菓子…?
服は練習着。となると………
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作者名:kiko | 作成日時:2018年7月1日 16時