page85 早朝から ページ37
ーAsideー
「スタン!」
A「うわっ」
スタンの声に驚き勢いよく身体を起こした。
窓からは朝日が差し込んでいる。
「スタンスタン〜」
A「………あっ。」
そうだ、今日レッスンの日だった!
寮生のいない朝と夜にしか練習できない為、
朝早くからレッスンをつけてもらっている。
A「ありがとうスタン。」
お礼を言い、急いで練習着に着替える。
準備を済ませ、楽譜を持って部屋を飛び出した。
誰もいない廊下を軽く走り、リンクに向かう。
まだ皆寝ているのだろう。昼間より静まり返っている。
練習場の扉を開き、中に入るともうリンクを滑る音が聞こえた。
相変わらず早い。いくら早起きしてもあの人にはかなわない。
A「ヒロさんっ……」
ヒロ「ああ。おはよう。今日は早いね。」
こっちのセリフです……何時に起きてるんですか一体……
ヒロ「おいで。」
優しい声かけに勝手に足が動く。
ヒロ「歌、覚えた?」
A「あ、はい。」
ヒロ「そっか。じゃあ振り付けだね。え〜と……僕が教えるのもあれなんだけど……とりあえずやってみよう。」
………?何か問題でもあるのだろうか。
ヒロ「よし。じゃあ最初は……こうっ。」
ん?
ヒロ「んで次は、右、左で……」
んん?
ヒロ「はぴーなる〜 で、こうね。」
え、いやいや………何このラブリーな振り付け!?これヒロさんが作ったの!?
ヒロ「あはは。これ振り付けした人女の子だからさ。」
A「あ、そうなんですね……」
だよね。じゃないとおかしいもん………
ヒロ「はい。じゃあもう一回ね。」
それからレッスンは続き、気がつくと7時をまわっていた。急いで片付けを始める。
ヒロ「ごめん、ちょっと長くなっちゃった。」
A「いえ、全然平気です。」
荷物をまとめ、練習場を出る。さっきより廊下が明るくなっていた。
ヒロ「コウジ、そろそろご飯作ってるかな。」
A「そうですね…」
部屋に着くまでの間、おしゃべりを続けていると、どこからか元気な声が聞こえた。
「おーい!A!」
ヒロ「あれは……」
A「カヅキさん?」
部屋の前でぶんぶんと手を振っているのはカヅキだった。その隣には、白い……スタンがいた。
カヅキ「ほら、スタンいたぞ!」
あ、そういえば言ってなかったんだ……
A「あ、あのカヅキさ……」
ヒロ「あーカヅキ。ごめんその子俺が先に見つけた。」
カヅキ「ええ!?」
ごめんなさいカヅキさん………
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作者名:kiko | 作成日時:2018年7月1日 16時