page78 エーデルローズはあたたかい ページ30
コウジ「その子、急に角からとびだしてきてさ。ヒロがつかまえに行ったんだけど。」
ヒロ「そしたらAちゃんがぶつかって来て。誰かと思って焦ったよ。それに意識なくなってくし。」
その言葉を聞いて、自分がぶつかった相手はヒロだと確信しすぐに謝罪する。
A「あの、ほんとに迷惑かけてごめんなさい…それに倒れないように支えていただいて…」
ヒロ「いや、そんな…大したことじゃないし…」
カヅキ「でも本当あん時は何してんのかと思ったぜ。ヒロの焦りようといったら…」
ヒロ「カヅキ…!」
カヅキは必死に笑いをこらえているが、今にもふきだしそうである。一方で…
コウジ「顔赤いよヒロ…ふふっ」
2人から笑われヒロは余計に顔を赤くする。
ヒロ「ああ、もう……」
ついにはうずくまってしまった。そういえば、まだちゃんとお礼を言えていない。
うずくまったヒロに声をかける。
A「ヒロさん…」
ヒロ「ん?」
A「ありがとうございます…」
ヒロ「……!」
ヒロは少し驚いた顔をしたが、すぐににこりと微笑んだ。
ヒロ「どういたしまして。」
カヅキ「お前が赤くなるの珍しいな〜。」
コウジ「ヒロは仕事上、女の子慣れしてるように見えるけど、実は全然な…」
ヒロ「コウジィイ!それは言うなぁ!」
部屋に笑い声が響き渡る。するとドアをノックする音がして、同時にドアが開いた。
「貧血と聞いたが、大丈夫か!?」
慌てて入ってきたのは……
ヒロ「聖さん。」
コウジ「はい、この通り今は元気ですよ。」
Aの姿を見て聖はいつもの穏やかな顔に戻った。
ヒロ「聖さんも心配症なんですね。」
3人にくすくすと笑われ、聖は頭をかきながら答えた。
聖「それは……この寮にいるかぎり、Aちゃんも生徒と同様だからな。」
生徒と……同様…
胸があたたかくなるのが自分でもわかった。
学校に行っていなくても、謎の多い自分でも受け入れていてくれたことがすごく嬉しかった。
A「エーデルローズ……」
コウジ「ん?何か言った?」
A「いいえ。何も。」
自分の居場所はそこだと、今はっきりと分かった。
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作者名:kiko | 作成日時:2018年7月1日 16時