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page77 逃走 追走 ページ29

「スタンスタン!」

その声でハッと目を見開いた。

A「……どうしたの…?」

「スタン!」

目の前でふわふわと浮いていたスタンは急に飛んでいってしまった。

A「あ…!ちょっと待ってよっ…!」

慌てて追いかける。公園を出て緑道を走り、寮へ向かう道をひたすら走った。

A「ちょっ…と……」

もしかしたら、3人に出会った日からこうやって走ったのは初めてかもしれない。いや、絶対初めてだ。だってこんなに息きれてるし……

フラフラしながら走り続けていると目の前の何かにドンと音を立てて衝突した。視界がまわり、バランスを崩し後ろに倒れそうになったその時。

「おっ…と……」

腰を支えられ、倒れずにすんだ。その人を確認しようとするがよく見えない。周りがだんだん暗くなっていく。

「大丈夫?ちょ…Aちゃ…」

かけられた声も遠ざかっていくように聞こえなくなった。





「……い、おーい。目、覚ませ〜。」

そっと目を開くと、見慣れた人物に見下ろされていた。

A「……カヅキ…さん…」

周りを見渡すとそこはAの部屋で、ベッドに寝かされている状態だということに気がついた。

カヅキさんがいるってことは…さっきぶつかったのは…

A「あの…カヅキさん…。さっきはすみませんでした。」

カヅキ「え?さっき…って、何の事だ?」

え。何のって…

説明しようとした瞬間、ガチャリと音がしてコウジとヒロが部屋に入ってきた。

コウジ「あ、目覚ましたんだね。」

ヒロ「良かった…」

A「あ…の…?」

なぜこの2人まで…?

コウジ「Aちゃん貧血で倒れたんだよ。」

貧血…!?

カヅキ「最近運動してないし、お前少食だもんな。」

コウジ「ごめんね…栄養が足りてなかったのかも…」

確かに、この間のグルメフェスティバルからプリズムショーは一旦お休みしているけど…
そんなに体力なかったんだな…
あ、そういえば…

A「スタン…スタンは?」

何に向かって走っていたか思い出し、慌てて尋ねる。

ヒロ「ああ、ここにいるよ。ほら。」

「スタン〜」

心配そうに見つめてきたスタンを見て、ほっと息をはく。

A「もう…急にとんでくから…」

コウジ「ああ、だからか。」

だから…?

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作者名:kiko | 作成日時:2018年7月1日 16時

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