page76 修了式 ページ28
今日は朝からオバレの3人がいない。寮の中も静まり返っていた。
今日は学園の修了式らしい。寮生達は全員学園にいるため、静かなのはあたりまえだ。
午前中は人がいないのは分かっているので、普段いかない食堂に寄ってみた。テレビまであり、なんだかくつろげそう。庭なども廻ってみたが、こうしていると泥棒みたいである。
仕方なしにAは公園に向かった。
手には昨夜コウジに渡された楽譜を持っていた。目を通しておいてほしいとの事だったが…
ベンチに腰掛け、楽譜を眺める。題名は…
A「ハート…イロ…トリ…ドリー……ム?」
なんだ、それ。どういう意味!?
何度も題名を読み直し、理解しようと試みる。
A「ハート…イロ…ハートがイロトリドリ?イロ……」
カタカナだらけでよく分からなくなる。しかし曲を聴けば意味が分かるかもしれない。
スマショでメロディを流すと、とても可愛らしいメロディが聴こえてきた。
A「はぴ…なる?」
分からないことが多すぎるので、オバレが帰ってきたら聞こうと思う。
顔をあげると、この間まで蕾だった桜の花が開花していた。満開…まではいかないだろうが、桃色の花が風に吹かれている。
A「…進級かぁ…」
自分も学校に通っていたら、修了式をしていたのだろうか。どこから来たか、身内もわからないままなんて、情けない。
今前を向けるのは、3人と……プリズムショーがあるからだ。
A「恩返し。しないとな…」
Aは目をうすめて、しばらく桜の木をぼんやりと見つめていた。
85人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:kiko | 作成日時:2018年7月1日 16時