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其ノ伍 ページ6

Noside

「こいつには遭うな。遭ったら逃げろ。」

「この人は──?」

「マフィアだよ。」

写真をじっくり眺めていると、何の前触れも無く、太宰が話に加わる。

「尤も、他に呼びようがないから、そう呼んでるだけだけどね。」

太宰は、とてもマフィアの話をしているとは思えない程、飄々としていた。

「港を縄張りにする凶悪なポート・マフィアの狗だ。
名は芥川。」

その名を聞いて、樋口が反応したのは気の所為だろうか。

「マフィア自体が黒社会の暗部のさらに陰のような危険な連中だが、その男は探偵社でも手に負えん。」

それを聞いて、敦の顔が険しくなる。

「なぜ……危険なんですか?」

「そいつが異能力者だからだ。
殺戮に特化した、(すこぶ)る残忍な異能力で、軍警でも手に負えん。
俺でも……奴と戦うのは御免だ。」

敦が生唾を飲む。

「でも、本当に気を付けた方が善いよ。」

先程とは打って変わって、真面目な態度で太宰が云う。

「そんなに危険な人なんですか?」

「まあ、彼も危険なんだけどねぇ……」

太宰は、意味ありげな笑顔を浮かべる。

「ポートマフィアには、彼より、もっと危険な人がいるから。」

その言葉に、敦は大きく目を見開く。

興味が無いフリを続けていた樋口も、思わず視線を太宰に向ける。

「い、一体どんな人なんですか?」

「勿論、彼を操っている首領とか、幹部とか……
危険人物と呼べる人は沢山いるけど…………」

「もう!勿体ぶらずに教えて下さい!」

敦に急かされ、太宰は観念したように口を開く。

「ポートマフィア首領補佐だよ。」

敦や、国木田も目を見開いたが、誰より驚いていたのは樋口だった。

「(首領補佐?そんな役職、聞いたことが無い。
……それより、何故あの男がそんな事を?)」

「その、首領補佐って、どんな人なんですか?」

「んー、何て云うんだろう?
ポートマフィアに似つかわしく無い子だよ。
兎に角純白……真っ白なんだ。」

「……随分と詳しいんだな。」

国木田が、太宰を睨む。

「これでも、情報収集は得意でね。」

「そうなんですか?」

敦は太宰に感心していた様だが、国木田は無言で太宰を見下ろしていた。

樋口は、太宰の事を睨んでいる。

「却説、そろそろ支度終わった?」

「は、はい!」

「なら、云っておいで。」

こうして、敦たち一行は、探偵社を出た。

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舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います!涙香くん、可愛いですよね!私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる!応援してます。更新頑張ってください! (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです!▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい!応援してます! (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです!!この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます!!これからも、応援してます(´ω`*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年3月1日 7時

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