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其ノ参拾玖 ページ41

Aside

ポートマフィア本部に戻って来た後、一度龍くんと分かれ執務室に戻る。

涙くんに贈答品を渡して、龍くんへの贈答品を準備するためだ。

長い廊下の先に執務室が見えた時、私は少しばかり呆れてしまった。

「ずっと此処に居たの?……涙くん。」

執務室の前で、紙袋を横に置いた涙くんが、体育座りをしていたのだ。

涙くんは、私の質問に首を縦に振ることで答えとし、立ち上がった。

「Aの帰りを待っていたんだ。」

……私の部下は、如何してこんなに可愛いんだろう?

こういうところを見ると、矢張り()とは別人なんだなと実感する。

涙くんの頭を優しく撫で、執務室に入れた。

「それ……持って帰ってくれて、有難うね。」

私が紙袋を指差すと、その紙袋を渡してくれる。

「否、俺は命じられたことをしただけだ。」

当然だと云うような涙くんを見て、自然と笑みがこぼれる。

「そんないい子の涙くんにご褒美だよ。」

はい、と涙くんに買った外套を紙袋から取り出して渡す。

涙くんは、唯々目を見開いて驚いていた。

「気に入らなかった?」

喜んでいるのを承知で、意地悪で聞くと、

「そんな訳は無い。」

即座に否定された。

涙くんは外套を眺め、何かに気付いたようにハッと顔を上げた。

「若しかして、今日買ってたのって……」

「うん、そうだよ。
元々、涙くんへの贈答品を買うのが目的だったの。」

涙くんは、ゆっくりと外套に腕を通す。

……が、

「…………」

「あー、なんか……ごめんね?」

小柄な涙くんには、少しばかり大きかったようだ。

「何時か、このサイズが似合う男になる。」

少し拗ねながら、涙くんが云う。

「……なら、それまでこうしてなよ。」

涙くんの外套を脱がし、肩にかける。

「こうすれば、大きいのも気にならないでしょ?
寧ろ、格好良いよ。」

「嗚呼……有難う。」

気恥しそうにする涙くんの頭を撫で、紅茶を淹れてあげる。

「気分だったから、ルフナね。」

「ルフナか……セイロンティーが好きなのか?」

「別にそう云う訳じゃないよ。涙くんは好きなの?」

「そうだな……
セイロンティーの中でも、ロー・グロウン・ティーが好きだ。」

「ロー・グロウン・ティー?」

何それ?

「知らないのか?
ルフナも、ロー・グロウン・ティーの一種だぞ?
セイロンティーは、大きく三種類に分かれていて…………」

この後、涙くんが淡々と紅茶の説明していたが、全部聞き流してしまった。

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舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います!涙香くん、可愛いですよね!私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる!応援してます。更新頑張ってください! (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです!▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい!応援してます! (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです!!この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます!!これからも、応援してます(´ω`*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年3月1日 7時

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