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其ノ参拾壱 ページ33

Aside

「……A。報告とは何だ?」

ポートマフィア本部を出て直ぐに龍くんが聞いてくる。

「あぁ、そうそう。私、部下ができたんだよ。」

「部下?」

「一昨日、私が裏切り者の殲滅に行ったの覚えてる?」

「嗚呼。」

「そこの長をやってた子でね……涙くんって云うんだ。」

「そんな奴を部下にして、大丈夫なのか?」

んまぁ、そう思うよね。

「大丈夫、大丈夫。
今のあの子は、私無しでは生きられないよ。」

自分でも判る程、厭な笑みを浮かべる。

龍くんの背筋が、ゾクッとしたに違いない。

「涙くん……本名、黒岩涙香くん。
情報入手に特化した異能力を所持してる。
ただ、その異能力には、厄介な暴走形態があるんだよねぇ。
齢15にして、大の大人を洗脳出来る逸材……
部下のほしかった私としては、最高の結果かな。」

「そうか…………良かったな。
それで、買い物と云うのは……」

龍くんは、そう云うと小さく咳き込んだ。

「涙くんに服を買おうと思って。」

「なら、涙香とやらと来れば良かっただろう?」

「龍くん、判ってないなぁ。
サプライズ贈答品(プレゼント)ってやつだよ。
ただ、私はファッションとかには滅法弱くてね。
ましてや、男の子の服だなんて冗談じゃない。
だから、君を誘ったんだよ。龍くん……センス良いしね。
ほら、何時も着てる黒外套もさ──」

私は、ここで自分のミスに気付く。

「あれは、太宰さんが……」

「はいはい!太宰サンの話は禁止!上司命令だから!」

龍くんの話を無理矢理遮る。

太宰サンの名前なんて聞きたくも無い。

……特に、龍くんからは。

「兎に角、そう云う事だから!
今日は、とことん付き合ってよね。」

「全く、仕方が無いな……僕の上司は。」

そう云って微笑む龍くんにつられ、私も自然と笑みを零していた。



Noside

格好的に不審者に見えそうな二人だが……

傍から見ればただのカップルだ。

そんな二人を後ろから()ける、怪しい影……

お察しの通り、黒岩涙香と樋口一葉である。

互いについて何一つ知らなかった二人の利害が偶然にも一致し、こうして仲良く尾行をしているのだ。

「矢っ張り、あの二人はそう云う──」

「落ち着け。」

涙香の言葉に、樋口はハッとする。

「会話が聞こえないのが惜しいな。」

「そうですね……もう少し近付きますか?」

「そうしたら、バレるだろう。」

「うーん……」

悩む二人を、何も知らない交通人が訝しげな視線で見ていた。

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舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います!涙香くん、可愛いですよね!私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる!応援してます。更新頑張ってください! (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです!▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい!応援してます! (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです!!この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます!!これからも、応援してます(´ω`*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年3月1日 7時

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