其ノ参拾 ページ32
Aside
その人物の執務室に着いた私は、目の前の扉を思い切り開ける。
「龍くん！」
中には、目を見開いた樋口ちゃんと、真顔の龍くんが居た。
「五月蝿いぞ、A。何だ？」
龍くん、今日も辛辣だなぁ。
「龍くん、デートしよう！」
「はっ？」
龍くんではなく、樋口ちゃんが反応する。
「デート？芥川先輩が？えっ？
二人ってそういう……否、そんな素振りは……
えっ、嘘……待って？はっ？えっ？」
樋口ちゃん……大丈夫かな？
「話の筋が見えん。筋道を立てて話せ。」
龍くんが、呆れ顔でそう云う。
「そっか、そっか……
そうだね、要点が抜けてたかも。
理由は、全部で四つ。先ず、一つ目……
一昨日の夜、龍くん任務で居なかったよね？
昨日も忙しくて、全然会えなかったし。」
「それが如何した？」
如何したって、酷くない？
「私はね！龍くんに会えなくて寂しかったの！
だから、今日は一緒に居たいなって思って！」
樋口ちゃんが、悲鳴に近い声をあげていたが……
面白いし、放っておこう。
「二つ目の理由は、とある報告をするため。
三つ目は、買い物に付き合ってほしいから。
最後は……まぁ、後で話すよ。さぁ、早く準備して。
あ、云っとくけど、強制ね。拒否権無いから。」
「おい、仕事は如何するんだ？」
部屋を出ようとする私に、慌てて声をかける龍くん。
「首領に云って、今日は有給取った。
勿論、龍くんの分もね。」
「何時？」
「昨日の夜。」
涙くんの報告と一緒にね。
「じゃ、そう云う事だから！」
困っている龍くんと、魂の抜けた樋口ちゃんをおいて、私は部屋を出る。
「……盗み聞きとは、悪趣味だねぇ。」
部屋の外には、涙くんが立っていた。
「…………先刻云っていた特殊な用とは、デートの事だったのか？」
「ん、まーね。あぁ、そうだ。
明日、首領の処に挨拶に行くから。
心の準備だけはしておいて。」
「……嗚呼。」
「じゃあ、宜しくね〜」
……涙くん、何であんな処に居たんだろう？
ポートマフィア本部裏手の駐車場。
防犯カメラの死角で、龍くんを待つ。
あ、来た。
手招きで此方に呼ぶ。
「待たせたな。」
「そんなに待ってないよ。」
龍くんの恰好は、私服にサングラス。
何時もの黒外套より、足の長さが目立つなぁ。
「格好良いねぇ。」
「下らぬ。」
私の言葉を見事に切り捨てた龍くんは、出口に向かって歩みを進める。
それを見た私は肩を竦め、龍くんの後を追った。
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舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います！涙香くん、可愛いですよね！私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (
レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる！応援してます。更新頑張ってください！ (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います！頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです！▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい！応援してます！ (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです！！この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます！！これからも、応援してます(´ω｀*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：舞花 ひめ | 作成日時：2019年3月1日 7時
