其ノ弐拾陸 ページ27
Noside
「人質が死んじまったなら、仕方ねぇ。
お前も始末し──！」
犯人の言葉を遮るように、その躯を何かが吹き飛ばした。
躯が打ち付けられ、コンテナが派手な音と共に崩れる。
何が起きたのか理解出来なかった犯人だったが��とあるもの��を感じて、身動きが出来なくなった。
…………殺気だ。
何とか視線だけ動かすと、其処には……
光の無い目をした涙香が立っていた。
彼の足元の影がゆらゆらと、形を定めずに蠢いている。
「(異能か？いや、でも、こいつの異能は……)」
確かに、涙香の異能力は、戦闘に不向きな異能力だ。
では、此れは誰の異能力か？
──此れもまた、涙香の異能力なのである。
涙香の異能力『無惨』は、相手の所有物から、情報を得る異能力だ。
しかし、普段のそれからは想像も出来ないような暴走形態が存在する。
自我と引き換えに、情報として得た異能力を使用出来る……というもの。
今、涙香が使用しているのは、此処に来る前、拷問器具から得たAの異能力『影の鎖』。
涙香の影が形状を変え、吹き飛ばされた犯人を貫こうとする。
犯人は、何とかそれを避ける。
ただ、咄嗟の事たったので、バランスを崩してしまう。
そんな犯人の隙を、今の涙香が見逃す筈が無かった。
一気に間合いを詰めた涙香は、影を槍のようにして犯人に向ける。
逃げようとするが、躯が動かない。
涙香が、影を使って犯人を拘束したのだ。
……Aが涙香にやったように。
それを見て、犯人は死を悟って目を瞑る。
──然し、何時までたっても痛みは来ない。
恐る恐る目を開くと、涙香の影が目の前で止まっていた。
とどめを刺そうと、犯人に迫る涙香の影を、
「何とか間に合ったか……」
涙香の背後から、女性の声が聞こえた。
「君に人は殺させないよ。」
彼女の言葉は、誰の耳にも届くこと無く、宙へと消えていった。
影から姿を現した女性……Aを見て、犯人は息をのむ。
真っ黒な影とは対照的な、白い肌に白い髪。
透き通った白い瞳は、吸い込まれてしまいそうな程美しい。
整った顔も
死に直面している犯人は、天使の如く現れたAに助けを請う。
「た、助けてくれ！」
彼女が、天使の姿を借りた悪魔だとは知らず……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 138人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います！涙香くん、可愛いですよね！私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (
レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる！応援してます。更新頑張ってください！ (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います！頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです！▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい！応援してます！ (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです！！この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます！！これからも、応援してます(´ω｀*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：舞花 ひめ | 作成日時：2019年3月1日 7時
