芥川龍之介の相棒

其ノ弐 ページ3

Aside

「それで？龍くんは、何しに来たわけ？」

私がそう云うと、龍くんは嫌悪感を露わにする。

云いたい事は判るけど……

よし！無視しよう！

「何？用事が無いなら、私寝るよ？」

「此処(ここ)に来た理由……
貴女ならば判っているのでは？」

敬語に戻りやがった。

……まあ、いいや。

「何でそう思ったの？」

「貴女は自室に鍵をかけぬような不用心な方では無い。
然も、僕が来る事を見越してか、空寝入りしていた。」

「成程。流石、相棒だね〜」

龍くんの眉間に皺が寄る。

「そんなに皺寄せてると、老化が早くなるよ〜」

適当にそう云うと、眉間の皺は一層深くなる。

「冗談だって。
えっと……新しい懸賞首の事でしょ？」

名前は確か……中島敦とか云ったっけ？

「然り。
貴女には、人虎捕縛の作戦を練って頂きたい。」

そう云う事か。

「良いよ。資料……頂戴。」

私が手を出すと、其処に資料を置く龍くん。

受け取った資料に、一通り目を通す。

「へぇ〜
人虎くん……武装探偵社に入社したんだ〜」

面倒だな〜

如何しよ〜かな〜？

「……そう云えば、龍くんに新しい部下出来なかった？」

「新しい部下？樋口のことですか……」

「樋口ちゃん？そうなんだ〜」

樋口ちゃんねぇ…………

「ねぇ、其の樋口ちゃんの情報ある？」

「樋口の？あるには、ありますが……」

龍くんは新たな資料を此方(こっち)にくれる。

「ありがと。」

うわ〜！

樋口ちゃん、めっちゃ美人じゃん！

「ねぇ、龍くん！」

「……何ですか？」

「樋口ちゃんの事、好き？」

「はっ？」

鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしているな〜

「いやぁ、こんな美人さんが部下なら、龍くんも惚れちゃうんじゃないかな〜って！」

「……巫山戯(ふざけ)無いで下さい。」

「おや？若(も)しかして図星？」

「そんなわけありません。」

嘘は……ついてないか。

なんだ、詰まんな〜い。

「巫山戯て無いで、真面目に作戦を考えて下さい。」

「作戦？もう考えたよ。」

私、やる時は確りやるからね〜

「……どんな？」

「先ず、樋口ちゃんを探偵社に潜入させよう。
新入りだから、難しい仕事じゃ駄目だし……
麻薬の取引とかで良いんじゃない？
証拠を集めてほしいって云えば善いよ。
其の間、龍くんは……如何しよっか？
そうだなぁ……軍警の屯所でも爆破しよう！
人目も惹けるし、見せしめにも丁度良い！」

うん！楽しくなってきた！

其ノ参→←＊＊＊＊について

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す