芥川龍之介の相棒

其ノ拾漆 ページ18

Aside

影の鎖はその名の通り、影を操る異能力。

影と同化することが出来、壁や床を伝って移動することも可能。

しかも、影と同化すると姿が隠せる……一石二鳥ってやつだ。

……と、云うわけで、

「目的地、とうちゃ〜く！」

敵からすれば、私は自分達の本拠地に突然現れた不審者なわけで……

「だ、誰だ！？」

ま、そうなりますよね〜

「こんばんは……裏切り者の抹殺に来た者でーす。」

そう告げた瞬間、相手の顔色が変わる。

次に、他に構成員がいないか、辺りを見回すが……

「残念！私以外は誰もいません。」

そう云うと、当然、私に注目が集まる。

屈強な敵の中に数人、安堵の表情が見えた者がいた。

「油断してると、足元をすくわれますよ？
……私、強いんですから。」

これから起こることに胸を高鳴らせ、自然と笑顔になる。

「あんな奴、いたか？」
「焦るな。たかが女一人。俺らの敵じゃない。」
「ポートマフィアも地に堕ちたものだ。」
「そうだな。さっさと済ませるぞ。」
「女を殺すのは気が向かないのだが……」
「仕方が無い。そういうこともあるさ。」

小声で話す敵の声が聞こえる。

それを聞いて、私は更に笑みが溢れる。

油断している敵ほど愚かなものはないよね……

「じゃあ、始めよっか。」

何時も被っているフードを取り、確りと相手を見据える。

敵が息を飲む音が聞こえた。

……気持ち悪。

「あ、そうだ。知ってます？」

銃器を取り出す敵に対し、私はポッケに手を突っ込んで彼等に話し掛ける。

「私の顔って誰も見たことないんです。
…………この意味、判りますか？」

私の質問に答える者はおらず、代わりに銃器を構える小気味良い音が微かに反響する。


「正解は…………
私の顔を見た人は、全員死んでるって事だよ。」


異能力『影の鎖』


影を使って相手の視界を奪うと、案の定、相手は混乱しだす。

その中から適当に選んだその男を影を使って押し倒し、敷石を噛ませ、後頭部を蹴る。

厭な音が、彼の顎の破壊を知らせてくれる。

激痛に悶える男をひっくり返し、隠し持っていた拳銃で胸に三発の銃弾を撃ち込む。

当然、血飛沫が飛び、私に少し付く。

……生暖かくて、気持ち悪い。

次に、敢えて敵の視界を奪っていた影を払う。

混乱し続ける敵は、少し遅れて私が移動したことと、仲間の一人が死んでいることに気付く。

「なっ……」

唖然とする敵を見て、遂に笑い声が抑えられなくなる。

あ〜あ、楽し。

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