無題2

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「ばか。使うのはこっちの木の実」


「いちいち馬鹿とか言うのやめてください」


ボールはこっちのが捕まるんだって、ってガチ勢の大我先輩は私のスマホを勝手に操作してなんか可愛い子を捕まえた。くるくる回して投げるとかなにそのテク。


みっちゃんがなんて言ったのかはわからない。でも大我先輩からすぐに『水曜の大学終わりな』ってメッセージがきてから一緒にモンスター捕まえるのが水曜日の日課になった。



「……この子かわいい。強いですか？」


「強くはない、けど。好きならいいでしょ」


「いいです！ニックネームなににしよ」


ゲーム、というものには子どもの頃からハマったことは無いけど、なかなか楽しい。戦わせる、とかそういうのは置いといて、見たことの無いモンスターをみつけたらテンション上がるし。


「先輩！なんかこの子ボールから出てきますよ…」


「色違いじゃん！この木の実食べさせて！」


テンションが高い大我先輩を見るのは面白いし。いつもだいたい30分くらいうろうろして疲れたら構内のコンビニでジュースを買って一緒に座ってまたゲームする。…小学生みたいだな


「先輩、今度のサークルの集まりきますか？」


「たぶん。Aは？」


「同じくたぶん、です」


なんだそれ、って笑われて「最近うじうじしてなくないですか？私」なんて。まるで褒めてって言ってるみたい、気づいてから自分の発言がものすごく恥ずかしく感じる。なんだそれ。


「まぁ。普段のお前は知らないけど。」


「この前久しぶりに会ったけど、普通に話せましたよ。…私すごい」


「あっそ。あ、こいつみて。Aに似てる」


スマホの画面にいる鼻水垂らしてうるうるした目のモンスター。…この子に似てるはちょっと悪口。かわいいけど、鼻水。


「……鼻水垂らすほど泣いてましたか？」


「うん。ブスだから泣かない方がいいよ」


「まじで最低な人だ。」


ふ、って鼻で笑ってコンビニで買ったホットコーヒーを飲む先輩。紙コップだし、コンビニの前なのに。なんで絵になるんだろ


「……なんだよ。」


「大我先輩、黙ってた方がモテると思いますよ」


「黙ってなくてもそこそこモテるけどね」


「………彼女つくらないんですか？」



飲んでたコーヒーを傍らに置いて、無言でじーっと私をみつめる。「な、なんですか。」真顔でみつめられるの結構怖い。



「まだいらない」




馬鹿にするように笑って余裕な発言。モテる人は違うな…









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