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最近夢に同じように女の人が出てくる。
最初は変わった夢だと思った。だけどそれは夢じゃないと寝ている頭でゆっくり理解して言った。
最初の頃見ていた、"誰か"が人々を力で圧倒するビジョン。
次にその力で苦しむ誰かの姿。
"こんな力なんて要らない"
そう泣いていた女の人を、わたしはただ見る事しかできなかった。
だけど、わかってしまった。
あれは紛れもない、"化け物としての私"なのだと。
「…A様」
ベッドに寝かされ鎖で両腕を拘束され、涙をポロポロ零す女の人に傍らに寄り添っていた男の人が私の頬に触れる。
「何を捨ててでも、誰かに愛される世界が欲しいですか」
男の人はそう、静かに尋ねる。
涙を流していた女の人は静かに頷き、男の人は胸元のポケットから懐中時計を取り出した。
シャラリ、と鎖を鳴らしそれをゆっくりと揺らす。
「今から貴女に暗示をかけます」
女の人が揺れる時計を見つめ、やがて瞼が落ちていく。
「…どうか全てを忘れて、幸せになってください」
後は私にお任せを。
そう行って眠りについた女の人の頬を撫で、男の人は優しい笑みを浮かべて部屋を出ていった。
『…そっか、貴方の目的は…
____私のシアワセ、だったんだね。ネム』
全てを知ったある日の朝。
わたしは1人のベッドから起き上がり、ただ涙を零した。
※※
だけどそれからというもの、わたしは未だに犯人の分からない罠を受ける日々だった。
「A様、お怪我は?」
『だいじょーぶ』
グルさんとまんちゃんとでお茶会をしようと上のとだなにあるはずのクッキーを出そうと手をのばす。
だけどそこには何故かナイフや壺等がしまわれていて、開けると同時にそれらが私目掛けて落下してきたのだ。
『…っ』
驚きのあまりうごけず立ちすくむわたし。
だけどそれを、腕を引いてかばってくれたのはおねえちゃんだった。
「なぁ、凄い音したんやけど」
近くの部屋でテーブルセッティングをしてくれていたまんちゃんがバタバタと慌ただしくやってくる。
「オスマン様」
「…成程なぁ。状況はわかったわ」
床に転がるナイフや壺だったもの、それらを眺めまんちゃんは耳元に手を当てインカムを繋げた。
「グルッペン、茶会は中止や
…それとごめんな、Aちゃん。暫くお部屋で大人しくして欲しいねん」
まんちゃんはとても悲しそうに眉を下げてわたしにそう言った。
夢で見た話…結局できそうにないなぁ。
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へまとふぃりぃあ - 設定を見るたびに思うのです。とんかつ…食べるの?ぬいぐるみの豚にその名前つけたの?銀の匙かな? 以上です。とても面白く、そのうち腹筋が割れるのではと心配です (2020年10月9日 21時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
はな - ハゲハゲそんなのいーやーでお茶ふいた (2020年10月2日 12時) (レス) id: 665f3a7ddc (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 最近お返事返せずすみません。リアルがかなり多忙でして、言い訳とわかってはおりますがコメントは全部ありがたく読ませていただいております。皆さんありがとうございます。次章までまたお付き合い下さると有難いです。 (2020年9月18日 21時) (レス) id: 3009402549 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 我々箱推しさん» 書き方が悪かったですね!完結は次章予定です!続編はその後に執筆します! (2020年9月18日 21時) (レス) id: 3009402549 (このIDを非表示/違反報告)
我々箱推し - 完結&続編おめでとうございます!続編も、黒瀬さんのこと応援します! (2020年9月18日 18時) (レス) id: 89d985a64d (このIDを非表示/違反報告)
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