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ni side

「…Aおる?」

そう聞いてきた緑パーカーの彼。
ゾムか。こうして話をするのは初めてやな。

「今寝とるで?何の用なん」

接し慣れてるロボロが難なくそう返す。

「…いや、その…」
「残念やけど寝とるし、この子と話す事なんて無いやろ」

帰れ、と俺が冷たくあしらえばゾムはバッと顔を上げて俺を見た。

「っ俺…謝らんといけんねん」

そう言うゾムに俺は腕を組んでジッと見る。

「泣かせるつもりは無かってん。やけど…」
「つもりはなくとも泣かせたのは事実やろ」

そう正論を言えば押し黙るゾム。
純粋故の、どうしたらええかわからんかったってとこか。

「…大方真正面からぶつけられた愛情にどうしたらええかわからんかったんやろ」
「…なんで、わかんねん」

あぁ、やっぱりな

「俺は皆の兄さんやからな、皆の表情を観察する癖があんねん」

ロボロの隣に座って寝ているAの頭を優しく撫でる。白く細い髪がサラサラと揺れた。

それをゾムは何も言えずに静かに見ていた。

「…やからゾムが考えてる気持ちもようわかんねん」
「…」
「冗談で済ませることが出来ひんくらい真面目に考えたんやろ?Aの事」

静かに、淡々とそう告げる。
ゾムは驚いたように目を丸くして、やがてゆっくり頷いた。

「兄さんどういう事なん?」

まだ状況が飲み込めてないロボロが問いかけてくる。

「普段のゾムなら流したり冗談めかして俺も好きやー言うて終わりやろ?でもそれをせぇへんかった。









それ程真面目にAの事が好きやから、幸せにしてやりたいから本気で考えて、否定したんやろうな」
「…はぇ〜」

ロボロがゾムに目をやれば慣れてないのか顔を真っ赤にして気まずそうに目を逸らしていた。うんうん青春やな。

「…やって」
「?」
「いつ死ぬかわからんやん…暗殺部隊の隊長やし、軍人やし。いつ死ぬかわからんのにもしもの事があって置いていってもーたら…俺…」

ぎゅっと拳を握る姿に、俺は不思議そうにしながらタバコに火をつけた。

「…いつものように"どんな奴が来ても負けへん"って言わんのな」
「…」
「(成程、それ程マジで真剣なんやな)」

A安心せぇよ。
お前は嫌われてへん、愛されとるよ。

寝ている少女の頬を撫でてやれば擽ったそうにして寝返りをうった。

.

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へまとふぃりぃあ - 設定を見るたびに思うのです。とんかつ…食べるの?ぬいぐるみの豚にその名前つけたの?銀の匙かな?  以上です。とても面白く、そのうち腹筋が割れるのではと心配です (2020年10月9日 21時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
はな - ハゲハゲそんなのいーやーでお茶ふいた (2020年10月2日 12時) (レス) id: 665f3a7ddc (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 最近お返事返せずすみません。リアルがかなり多忙でして、言い訳とわかってはおりますがコメントは全部ありがたく読ませていただいております。皆さんありがとうございます。次章までまたお付き合い下さると有難いです。 (2020年9月18日 21時) (レス) id: 3009402549 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 我々箱推しさん» 書き方が悪かったですね!完結は次章予定です!続編はその後に執筆します! (2020年9月18日 21時) (レス) id: 3009402549 (このIDを非表示/違反報告)
我々箱推し - 完結&続編おめでとうございます!続編も、黒瀬さんのこと応援します! (2020年9月18日 18時) (レス) id: 89d985a64d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒瀬 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年7月29日 9時

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