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「Aこっち向いてや」
『むぐ?』
お兄さんがオムライスを頬張るわたしの首に紫色のベルトをこていする。つうしんき?付きだって。
『わんちゃんみたい』
「お、ええやん」
『…がう』
食べ終えたお皿を置いて、両腕をあげてお兄さんにとつげきする。お兄さんはやさしく微笑みながらうけとめてくれた。
「でっかいわんこやな」
なんて笑うから大きな手にカプ、とかるく歯を立てる
『あぐ』
「んーええなぁ……調教しがいがあるなぁ」
「兄さんストップ」
「チッ」
書類を手にへやに入ってきたトンちゃんに舌打ちをして兄さんは「何の用なん?」と何事も無かったかのようにたずねだした。
「何って…報告と相談があんねんやろ?ついでやしグルさんとこ行くで」
「ん?そしたらこの子どうするん」
兄さんの手が私の頭を優しく撫でる。
「ゾム呼んどくから預けて『やだ』…え?」
「…トントンしばらくゾムは近付けんでやってくれ。せやな…ロボロかコネシマ辺りでいいと思うで」
わたしがぞむを拒否したのに驚きをかくせないのかトンちゃんはえ?え?とわたしと兄さんを交互に見やる。
「それも含めて後で説明するからはよ行くで」
「…わかったわ。んじゃAちゃん、ロボロ呼んどくから来たら一緒に居てな?」
トンちゃんのことばに頷けば優しく頭をなでて二人は部屋をでていった。
そのまま兄さんのベッドにぽすんとねころがる。
ぞむからはまったくしないタバコの匂いがしんせんだ。
『…ぞむのばか』
かりかりとつま先をかるくかじりながら目を閉じれば、泣いたこともあって疲れたわたしは夢の世界へとおちていった。
※※
「…それで?相談って何だ?」
トントンと共に部屋に入ってきた兄さんに単刀直入にそう聞くグルッペン。
兄さんは取り出したタバコに火をつけ、煙を肺に通し吐き出してから静かに告げた。
「…単刀直入に言う。あの子はもう、普通に暮らすことは出来へんよ」
「…!」
「…それはどうしてだ」
「あの子裏社会で危険人物や価値のある人間がぶち込まれるブラックリストに名前が載ってんねん」
懐から出した紙の束をグルッペンに手渡す。
そこには確かにAの名前と写真が載っていた。
「やからひとつ、提案があんねん」
紙の束をピシッと指さす。
「Aをここの人間として仕事をさせるんよ」
真っ直ぐな紫の瞳を前にグルッペンとトントンは小さく息を飲んだ。
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へまとふぃりぃあ - 設定を見るたびに思うのです。とんかつ…食べるの?ぬいぐるみの豚にその名前つけたの?銀の匙かな? 以上です。とても面白く、そのうち腹筋が割れるのではと心配です (2020年10月9日 21時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
はな - ハゲハゲそんなのいーやーでお茶ふいた (2020年10月2日 12時) (レス) id: 665f3a7ddc (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 最近お返事返せずすみません。リアルがかなり多忙でして、言い訳とわかってはおりますがコメントは全部ありがたく読ませていただいております。皆さんありがとうございます。次章までまたお付き合い下さると有難いです。 (2020年9月18日 21時) (レス) id: 3009402549 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 我々箱推しさん» 書き方が悪かったですね!完結は次章予定です!続編はその後に執筆します! (2020年9月18日 21時) (レス) id: 3009402549 (このIDを非表示/違反報告)
我々箱推し - 完結&続編おめでとうございます!続編も、黒瀬さんのこと応援します! (2020年9月18日 18時) (レス) id: 89d985a64d (このIDを非表示/違反報告)
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