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ぞむと一緒にしあわせになりたい。
ただそれだけだった。
なのにぞむは「駄目や」の一点張り。
なんで?
ぞむはわたしの事、きらいなの?
『…なん、で…っ』
「…Aには酷すぎて言えんわ。ええから食堂向かって先に…『も、いい』…A?」
肩をつかんでた手をふりほどきゆっくり顔をあげる。
ぞむの目は不安や後悔、かなしみといろんな色でごちゃごちゃに塗れていた。
いつもは大好きなペリドットの瞳。
だけど今はもう見たくなくて、うつむいたままへやを飛びだした。
私にとっては長いろうかをひたすら走る。幸いにもぞむが追いかけてくることは無かった。
『はぁ…っ、は…っ』
息をきらせて誰もいない夜の中庭に1人、ベンチの上にうずくまる。
ぞむをすきにならなければこんな思い、すること無かったのかなと涙をポロポロ零しながらぼんやりと思った。
「____…こんな時間にこんな所で、子供が1人どうしたん?」
不意に聞こえた優しい声にそっと顔を上げる。
そこには紫のストールをまいた、初めて見るお兄さんが私を見下ろしていた。
『…だ、れ…?』
「俺?んー…"お兄さん"でええよ」
お兄さんは不思議そうに見上げる私にかがんで支線を合わせる。泣きすぎて赤くなった目元を指でそっと優しくなでてくれた。
「目元赤いで?誰かと喧嘩でもしたん?」
『…ぞむ』
「…成程、君がグルッペンが言うとった子か」
お兄さんは私を抱き上げて中庭からお城の方へと向かう。食堂は嫌だと腕の中で暴れるがお兄さんは知らん顔だ。
「きっと皆心配しとるで?俺も用あるし食堂行くで」
『やだ!ごはんいらない!』
じたばた抵抗したりするけどお兄さんは自分のストールを私に巻き付けて頭を撫でるだけでいっさい話を聞いてくれなかった。
食堂の扉をあければわたしが来なかったことで心配してたロボロとエーミール、トンちゃんがかけよってきた。
「A…それに、兄さん」
「久しぶりやな」
兄さんはどうやらみんなと知り合いだったらしく私の頭上でいろんなお話をしはじめる。
その時ふとぞむと目があったけど、ぞむはフイッと目を逸らしてご飯を再開した。
胸がズキっと痛んだ
「____でな、今後の事で相談が…」
『…ふ、ゔ…っ』
「…?」
兄さんが腕の中にいたわたしがなきだしたのに気付いて顔をのぞきこむ。
『ゔぇ…っ、ひっく…ゔぅ〜っ』
「A?!」
「…ちょおこの子連れて外出てくるわ」
泣き出したわたしを連れて兄さんは自室へとあるきだした。
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へまとふぃりぃあ - 設定を見るたびに思うのです。とんかつ…食べるの?ぬいぐるみの豚にその名前つけたの?銀の匙かな? 以上です。とても面白く、そのうち腹筋が割れるのではと心配です (2020年10月9日 21時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
はな - ハゲハゲそんなのいーやーでお茶ふいた (2020年10月2日 12時) (レス) id: 665f3a7ddc (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 最近お返事返せずすみません。リアルがかなり多忙でして、言い訳とわかってはおりますがコメントは全部ありがたく読ませていただいております。皆さんありがとうございます。次章までまたお付き合い下さると有難いです。 (2020年9月18日 21時) (レス) id: 3009402549 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 我々箱推しさん» 書き方が悪かったですね!完結は次章予定です!続編はその後に執筆します! (2020年9月18日 21時) (レス) id: 3009402549 (このIDを非表示/違反報告)
我々箱推し - 完結&続編おめでとうございます!続編も、黒瀬さんのこと応援します! (2020年9月18日 18時) (レス) id: 89d985a64d (このIDを非表示/違反報告)
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