18 ページ19
しっまと手を繋いで、うしろにしょっぴにぃとぐるぐるメガネのお兄さんを連れてしょくどうに行ったら白い洋服のお兄さんがいました。
「お、ひとらんやん」
「やっほー。収穫した野菜持ってきたよ」
「ひとらんさんの野菜美味しいですからね」
『…？』
「ひとらんは俺たちの仲間やで」
不思議そうに見あげていればしっまが私にそう教えてくれた。視線をお兄さんに移せば、彼はマスク下で微笑むと同時に屈んで視線を合わせてくれた。
「この子は？」
「Aって言うてな、この前グルッペンがインカムで言うてた子や」
しっまが多分な、と言えば「あぁ、成程」と納得したように頷いた。
「初めまして。ひとらんらんです」
『…らんらん？』
「そう。らんらんでもらんちゃんでも、好きな風に呼んでね」
じっと彼の目を見つめる。
綺麗で曇りのないその目はまさに黒真珠のよう。
『らんらんは、こわくない？』
「んー…少なくともAには悪いことしようとは思わないかな」
優しく頭を撫でられ『んへへ』と頬を緩める。
らんらんの手、大きくてあったかいな。
「でもどうしてそんな事…」
そこまで言って私の腕にきづいたらんらんは湿布を貼られた腕を取る。
「…これ、どうしたの？」
途端にぐるぐるメガネのお兄さんが気まずそうに目を逸らす。
「チーノがこの子の事観光客と間違えて押さえつけてもうてな」
「は？何してんの馬鹿なの？」
「返す言葉もゴザイマセン」
スっと目を細めたらんらんは腰を上げて所持していた剣に手を伸ばす。慌ててしがみつけば、らんらんは動きを止めて私を見下ろした。
『だ、だめ』
「怪我させられたんでしょ？怒らなきゃダメだよ」
『わるくない、からっ いたいの、だめ』
元はと言えば勝手に出歩こうとした自分が悪いのだ。しょっぴにぃを起こして一緒に向かえばあんな事にはならなかった、だから悪いのは自分なのだ。
「…Aちゃんがそう言うならそういう事にしといてあげる。チーノ、感謝しなよ？」
「はい…」
ぐるぐるメガネのお兄さんが目の前にやってきて屈み、湿布を貼った腕にそっと触れる。先程の事もありビクッと小さく震えてしまったが、逃げないでメガネの奥の瞳を見つめる。
「ホンマにごめんな」
『…んっ』
小さく頷けばお兄さんは「チーノって言うねん。よろしくな」と頬を両手で包んで笑った。
わたしも、ごめんなさい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1446人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くまくまちゃん(いろ)(プロフ) - おもろいです！夢主ちゃんが可愛すぎますっ！見た目年上でも中身絶対年下じゃん…(12歳) (2020年11月5日 23時) (
レス) id: 8a3f9ddf1c (このIDを非表示/違反報告)
闇ちょこ(プロフ) - だ！より、とりあえず、夢主ちゃんが、可愛い(°∀°) (2020年9月24日 5時) (レス) id: e0b0a3b941 (このIDを非表示/違反報告)
闇(プロフ) - 夢主ちゃんが可愛っかったです。(作文風)せーの、「はげー」すいませんした (2020年7月29日 5時) (レス) id: c58c36be65 (このIDを非表示/違反報告)
らりるれろん(プロフ) - 夢主ちゃんかわぁぁぁぁ！！悪戯好きなのかわいっ！みんなも夢主ちゃんと言おう！せーの、「はげー」(((ごめんなさい (2020年7月28日 23時) (レス) id: 2108271c54 (このIDを非表示/違反報告)
茉鈴(プロフ) - まって？この子好きなんですけど。可愛い顔して怖いこと言うさ？毒舌の子？が好きなんよー！！！ごめん独り言です。 (2020年7月26日 17時) (レス) id: 3c50c30f7a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
