15.悪い子には粛清せよ ページ16
獣化により眼光を鋭くさせたトントンは首に軽く歯を当て甘噛みを繰り返す。その度にびりびりと電撃が背中を駆け巡り、慣れない感覚から逃げ出そうと背を向けた。
が、トントンの手がそれを許さなくて私は噛まれる度にびくびくと震えていた。
『ん、うっ トントン、ごめんって…』
「許さへん」
『あうっ』
あぐあぐとまるで躾のように何度も首の後ろを噛まれ、なんとも言えない感覚に正直今にも逃げ出したい気持ちでいっぱいだ。
「Aの匂いがするな？」
首の後ろをスンスンするトントンに羞恥で涙が出てきた。
『トントン、はっ 恥ずかしい…』
「んー？もう少しだけ」
『本当ごめんなさい調子に乗りすぎました二度としませんだから許して！！』
耐えれず叫べば彼はそっと耳に顔を近付けた
「…反省したか？」
『した！したから離して！』
「ごめんなさいは？」
『ごめんなさい！！！』
キャパオーバーで泣きそうな私を見てトントンはよし、と頷いて顔を離し抱き起こす。そのまま腕を首に回し、彼にもたれ掛かる様に足の間に座らされる。
『…怒ってる？』
「せやな」
『ごめん…』
服の裾を握って弱く言えば、トントンはため息をついて眉を下げた。
「…嫌がる事はしたらあかん。ええか？」
『うん。本当に、ごめん』
「わかったならええよ」
肩に顔を埋めるトントンの頭を優しく撫でる。尻尾はぶんぶん振られているので、ご機嫌は直ってくれたらしい。
「あんまり距離近いと危ないで。この家の男共は皆狼やから何されるかわからへんし」
『え？犬と猫でしょ？』
「そうやけどそうやない」
ため息をつく彼の口の端から半分獣化して鋭くなった八重歯がチラリと覗き、好奇心で頬に手を伸ばす。
『…噛まれたら痛そう』
「大事なAを噛んだりせぇへんよ。安心しぃや」
「さっき甘噛みした癖に…」
そうボソッと呟きながら膝立ちになり彼の顔を覗き込む。危ないで、と彼は言うがお構い無しである。
『そう言えば、血を飲んだりするんだっけ』
「一応な」
吸血鬼みたいに首をガブッとするのかな、なんて思っていたらトントンは小さく笑って手を取った。
「もしかして血ぃ吸われたいん？」
『違うよ。気になっただけ』
「へぇ」
痛いからやめとき、と言う彼に頷けば彼は立ち上がり手を引いた。
「さ、はよ仕事に行こか」
『あっ！忘れてた！』
犬の姿に戻り先に走り出したトントンの後を、ストールを手に取り追いかけた。
トントンは怒らせると怖い。覚えておこう…
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遥(プロフ) - 当時はコメントをしておりませんでしたので今更となりますがコメント失礼致します。本作はとても素晴らしい作品で、多忙な毎日の楽しみにさせて頂いていました。本日は誠に勝手ながらそのお礼を伝えたいと思い馳せ参じた所存です。素晴らしい作品を有難う御座いました。 (2021年11月20日 21時) (
レス) id: 9095c0dec3 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。一年ほど前に初めてこの作品を拝見して以来、ずっとこの作品の虜となっておりました。以前このサイトの垢を消してしまったせいでこの作品をもう一度見つける事が出来なかったのですが、今日になって漸く探し出すことができました。 (2021年11月20日 21時) (レス) id: 9095c0dec3 (このIDを非表示/違反報告)
114514 - 心臓が死にかけに……………ぐはっ (2020年7月1日 21時) (レス) id: 3a17ec7a5b (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - ふぁこ。さん» ありがとうございます！ヽ(；▽；)ノ最近更新ペースが少し落ちてますが、頑張ります！ (2020年2月26日 13時) (レス) id: 46340c89d0 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ。(プロフ) - 設定と黒瀬さんの文章が好きで、いつもキュンキュンさせてもらってるんですが、突然の戦闘(？)シーンが好きすぎてドキドキしました笑。応援してます！頑張ってください (2020年2月25日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
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