不良=恐怖とは限らない。【男主】

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視点:降谷


外に出ると粗方片付いたのか組織の下っ端達が拘束されていた。

入り口から少し逸れた場所に少し人だかりが出来ていた。
どうやら、部下が言っていた場所はそこのようだった。


「退いてくれ。」


俺が声を掛けると部下達がその場を離れ、道ができた。
その先には血の海ができていて、その中心に人が倒れていた。


「…ｯ」


俺は躊躇なく血の海へ。
飛び降りた為か四肢はあらゆる方向へ曲がっていた。

俺は顔に掛かったモヒートの長い髪を耳に掛けてやった。


「…！涙の、跡。」


微かに彼の頬に涙を流した跡が見えた。
あまり、泣く姿を見た事がなかった。
甘える歳でもないからと強がっていたが、彼はまだ未成年で俺からしたらまだまだ子供だった。

そんなモヒートが、誰もいない、知らない所で泣いていたのか。

その時だった。彼の指がピクリと動いた。


「！モヒート…!!?聞こえますか…!!?」

『……る、せｪな……ｶﾞﾊｯ…聞こえ、てる…。』

「何故飛び降りなんて馬鹿な事をするんだ…！」










『ｾﾞｪｾﾞｪ…、やっと、…父さんの元に、ﾊｱﾊｧ‥行け、んだ』










「‥！」









『……いい、加減…ｾﾞｪ…一緒、に、いてｪん、だよ……』











モヒートは、痛いのに腕を上へ伸ばした。
俺はその手を握ってやった。



『…………迎えに、来てくれたのか……スコッチ。』


「!!!?」



突然そう言ったモヒート。
俺は衝撃を受けた。何故、今ヒロの名を出したのか。
さっぱり分からなかった。

モヒートの手が力なく、地面に落ちていく。
目も閉じていた。


「………逝ってしまったか。」


動かなくなってしまったモヒートをゆっくりと地面に横たわせた。



✱



両者援軍甚大な被害を受けたが、無事に警察が勝利した。
ジンは自決、キャンティとコルンは拘 束出来たがベルモットは行方を晦ました。

彼女の事だから変装でもして日々過ごすだろう。


「降谷さん、モヒートが言っていた父親とは…」

「…風見か。組織にいたアイリッシュという人物だ。今はもう存在しない。」

「…殺されたと言う事ですか？」

「嗚呼、恐らくジンにな。…アイリッシュに拾われたそうだ。」


アイリッシュとはあまり話した事が無かった。
名前を聞く程度で接触した事があまり記憶にない。

組織にいるから善人ではないだろうとは思っていたが、モヒートから聞く限り完全なる悪人でもなさそうだった。


-37-に続く

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