不良=恐怖とは限らない。【男主】

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『やっぱ、コレだな。』


ペ○ングを作り終え、マヨネーズを付け加え、まろやかさを増す。
カロリーはとてつもなく高いが、コレが止められない。


『……なあ、髪ゴム持ってねｪ？』

「ハイハイ。…髪ゴムいつも持ってなかった？」

『体育の授業で寿命が切れた。』


毛量が多いからだとか京極に言われた。
体育の時は仕方なく女子から借りたヘアクリップとやらで凌いだ。
女子用のデザインだから俺には似つかなかったが、体育をやる為だと腹を括ったのを覚えている。

シェリーから、髪ゴムを貰い軽く1つに纏めた。


「よく思うけど、お兄さん髪長いね。」

『…そうか？俺よりもっと長い奴いるけどな。』


ジンとか、ジンとか、ジンとか……。



✱



「お兄さん、実は優しいんでしょ。」

『あ"？』


ペ○ングを食っていたら突然ガキが言ってきた。
突然何を言い出すかと思えば下らねｪ質問だった。


「だって、強盗犯を追いかけてくれたしさっきだって倒したし。迷子の子を助けたって京極さんから聞いたよ。」

『あのやろ…。』

「なんで、お兄さんは組織にいる事を拘るの？」

『…確かに組織のやり方には気に食わねｪ事が時々ある。だが、俺には組織に恩義がある。』


今、思い出すと懐かしいと思うが当時は胸糞悪かった。


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7年前。

実の両親は俺に無関心だった。
所謂、育児放棄だった。

就学前は可愛がって貰った記憶は多少はある。
だが、小学校に上がると急に愛情が冷めたのか態度が冷たかった。

ある時は金だけ置いて二人だけで出かけていく事も度々あった。
…まだそれは良かった。

ある日、小学校から帰ると何だかいつもの家ではないと感じた。


『……お母さん？お父さん？』


声を掛けたが当然のように返事はない。
いつもは、テーブルの上に千円札が無造作に置かれているのを思い出し、リビングへ駆けた。


『……ない。』


置き忘れたのかな。
捨てられた訳ではないよね、と不安になりながらも家中を駆け回った。

引き出しを勢い良く開けて、漁る。
だけど、いつもはあった通帳や判子とかなくなっていた。

親の寝室にあるクローゼットを開けたらもぬけの殻だった。

俺は当時11歳だったが、子どもにして捨てられたのだと直ぐに理解してしまった。

俺は何も持たずに家を出て行った。


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-29-に続く

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