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「A」
俺の家にまたオウム帰りしてきたA。
ベッドの下で湧くんのインスタの画面を見て固まった。
「湧別れたんだ、」
「らしいね」
「知ってたんだ」
「直接聞いた」
ふーん、って興味無さそうだけど彼女と映る写真が無くなった画面を見つめるAの横顔は綺麗だった。
「ねぇ、竜生」
「んー？」
「ちゅーして？｣
「どうしたの？甘えたくなった？」
「竜生が切ない顔してたから、私は竜生が1番だよ」
そう言って口に当たった柔らかな感触に頬が赤くなる。
「竜生の1番はわたし？」
「ずっとずっと1番がAだよ。」
「そっか、嬉しいな」
って今度はどちらからともなくキスをした。
そしてそのままはじめて白いスーツに2人で沈んだ。
「ん」
目を開けると目の前にはだけた俺だけのお姫様。
ベットの下にくたびれたように落ちていた自分のパーカーを拾い上げてAに着せた。
初めてだったらしい行為はまた簡単にも俺の事を更に沼に引きずり込んだ。
そのまま、頭元に置いてあった携帯を撮ってAの寝顔を撮ると開く瞳。
「ん、竜生？」
「起こしちゃった？ごめん」
「んーん、いま何時？」
「もう夜中の1時、俺ら寝すぎたね笑」
笑った反動で揺れる前髪を避けてあげたら、ぎゅーしてと言わんばかりに伸ばされる手に両手をまわした。
「竜生、お風呂入ろ」
「え？一緒でいいの？」
「一緒がいい、竜生と離れたくない」
「かわい、入ろっか」
いつもより甘えん坊なAになんか安心したそんな気がした。
人が甘える時は人生に何かが物足りないから。
とその時の俺とAは知らなかった。
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年3月23日 18時
