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「Aはさ、半年俺と過ごして楽しかった？」
「もちろん、楽しかったよ、」
こうして今日も海で追いかけっこしたことも、
映画で2人で号泣したことも、夜中にコンビニにアイスを買いに行ったのに結局「お腹すいたね」って肉まんを買って半分こした時も、
ディズニー行った時も横浜に行った時も2人とも無計画すぎたけど「まぁこんな旅行もいいじゃん」なんて2人で笑いあったことも、
全部全部楽しかった。
「俺も楽しかったなー、笑」
ねぇ、これからも一緒でしょ？？
なんでもう終わりみたいな言い方をするの。ねぇなんで。
そんな私の表情に気づいたのか、深田は目を逸らしてまた海の遠くに目を向けた。
「A俺さ、嘘ついてた。
ずっとずっと出会った時からAのことが好きだった。一目惚れだった。
でも、Aが湧くんのことを好きなのを知ってたからちゃんと気持ちに区切りつけて応援しようってそう思った。
Aと湧くんが幸せになってくれたら俺はそれでよかった。
なのに湧くんが知らない奴と付き合って、正直むかついたし、男の俺からしても思わせぶりだっただろってそう思ったよ。
でもその代わりAと過ごす時間が増えてやっぱり離したくないなって思っちゃってAが弱ってるとこにつけ込んだ。
Aと過ごす時間は俺にとってすっごい幸せだったんだ。
でもな、それと同時に罪悪感がうまれるんだ。
Aは俺の事友達として頼ってくれてるのに俺はAのことを恋愛対象として見ちゃう。だからもうこれ以上はAの弱みを利用したくないんだ、｣
そう話した深田の目には涙がこぼれ落ちていた。
わたし、最低だ。知らなかった。深田が私に好意を寄せてくれてることも。全部全部。
じゃあ一緒に過ごした時間深田には悲しい思いをさせてた？？
「A俺に依存しちゃだめ。ちゃんと前向いて？？」
依存。そうかもしれない。
なんでもしてくれてる深田に頼りすぎていた。
「深田はさ、楽しかった？ほんとに？」
「ほんとだよ、俺には勿体ないくらい幸せだった。」
そう笑った深田の顔は嘘なんてついているようには見えなくてまた更に心が傷んだ。
「でもさもし、ちょっとでも俺と一緒に過ごして、気を持ってくれたなら
次は彼女としてそばにいて欲しい。それだけ。」
そういった深田は私が言葉を返す時間も与えず車に戻っていった。
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年3月23日 18時
