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恍惚としてお互いに触れ合っていると、どこからか足音が届いた。
ハンジさんは一瞬そちらを見るが、構わず舌を侵入させる。
「ふぁ…っ ん」
「は、A…」
あと少しだけ…。
キスのたびに触れる髪がくすぐったい。
若干の酸欠状態で身を委ねていると、扉越しに声が響いた。
「分隊長!会議が残っています!Aもいるならそろそろ上がってよー!」
私たちは慌てて顔を離す。
ニファの声だ。
大方、モブリットさんが寄越したのだろう。
「やっべ、忘れてた」
「私もまだやることが…!」
ハンジさんは名残惜しそうに私の頬を包むと、そのまま最後の口づけを落とした。
「続きはお預けだね」
「つ、つづき?」
「もちろん。
さ、あと少し頑張ろうか」
今行く!と、何事もなかったかのように返事をする彼女。
なんだか余裕そうで、少し悔しい。
手早く服を着て私にジャケットを羽織らせると、優しく指が絡んだ。
「ハンジさんっ」
「いいだろ?恋人なんだから」
そう言ってにっこり笑う。
きちんとした役職のある彼女のことだ。
誰かに見られたらまずいかもとか、噂されたらどうしようとか、そういう思いが今ので帳消しになってしまった。
「行こう、A」
どこまでも私を導く貴方。
私は死ねない。この日をずっと思い出すために。
私たちは満ち足りて、束ねない髪を揺らしながら走っていた。
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匿名名無し - 綺麗な文章で読みやすかったです。新作楽しみにしています (2021年5月5日 21時) (レス) id: 9083184134 (このIDを非表示/違反報告)
べりる(プロフ) - いんこぷりんさん» 私も!いんこぷりんさんが大好きです!!こちらこそ応援してます、今度は私がいんこぷりんさんの作品にコメントしに行っちゃいますね(..*) (2020年12月2日 17時) (レス) id: d7350d4092 (このIDを非表示/違反報告)
いんこぷりん(プロフ) - べりるさん» お互い強く生きていきたいですね…!わー!そうなんですか!キュンキュンして頂きありがとうございます!(感涙)本当にべりるさん大好きです…!これからも応援してます!(*^^*) (2020年12月1日 21時) (レス) id: a01a78f710 (このIDを非表示/違反報告)
べりる(プロフ) - いんこぷりんさん» う〜〜〜温かいお言葉ありがとうございます…染み渡ります…TT いんこぷりんさんもよくぞご無事で!!(?)ずっといんこぷりんさんの作品拝見してます。どんなネタでもキュンキュンで、最っ高です…。私も久しぶりにお話しできてうれしいです! (2020年11月30日 20時) (レス) id: d7350d4092 (このIDを非表示/違反報告)
いんこぷりん(プロフ) - やっぱりべりるさんの作品は本当に最高です!私も本誌の展開でかなり落ち込んで泣いたりしてました…。なのでべりるさんの事もとても心配していました。久しぶりにお見かけ出来て良かったです!嬉しいです! (2020年11月30日 10時) (レス) id: aafc5c7127 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べりる | 作成日時:2020年5月4日 16時