外伝10 ページ24
ジェベリアは衣装持ちである。様々な地域や時代の服を集める事を趣味としているようで、その衣服は潜入捜査の際に用いられたりもするが、最も多い用途は、夫との戯れであった。
「どうかしら?こういうの、嫌いじゃないでしょ?」
その日、ジェベリアはレディーススーツを着込んでいた。ぴちぴちとした黒のパンツが、むっちりとした下半身を包む。薄手のシャツゆえに、その豊満な胸元が透けて見えた。髪は編み込みにし、銀の髪飾りでとめている。
得意気で、そして興奮でほんのりと赤い顔をしているジェベリアを見て、ジョンはふぅんと声をもらす。
「……それ」
「?……ああ、眼鏡ね。これがどうかしたの?」
ジョンはジェベリアの顔を……正確にいうなれば、ジェベリアが顔に装着しているその物体、眼鏡を指差す。
この眼鏡は、別にジェベリアの視力が低下したからかけているわけではない。いわゆる、伊達眼鏡である。この戯れのため、つい最近気まぐれに購入したものだ。フレームのデザインは彼女の夫と同じものである。
「似合ってるね」
「……ふふ、当然よね。私には何でも似合うんだもの」
ジョンのその一言に、ジェベリアは一瞬だけ黙ったが、すぐにそう返す。そしてそのままジョンを抱き締め、ベッドへ押し倒す。
次の日から、ジェベリアは眼鏡をかけはじめた。ただの伊達眼鏡なのに、外したがらなかった。
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夜(プロフ) - 素晴らしいお話、ありがとうございます。楽しみに待っています (2021年7月22日 13時) (レス) id: 1f55a4bce5 (このIDを非表示/違反報告)
つーちゃん - ください (2021年7月4日 14時) (レス) id: 84f4461b32 (このIDを非表示/違反報告)
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