106話 ページ10
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蛭田は苦痛の表情を浮かべ、呟く。
蛭田「...待つしかない、っていうことですか...」
A「.....」
すると五十嵐はゆっくりと立ち上がり応えた。
五十嵐「...僕に出来ることはないか、ちょっと考えてみます。」
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ラジエーションハウスへ戻りながら五十嵐は「あのう」とAへ声をかけた。
A「...乳腺外科医の先生に出来るだけ早く、ということですか?」
五十嵐「えっ...あ、えと.....」
Aはわたわたとする五十嵐を横目に小さく「すみません」と呟いた。
五十嵐「...!...あ...こちらこそ無理言ってすみません...」
A「...でも、私達に何か出来ることがあるはずです。五十嵐さん、一緒に探しましょう?」
五十嵐「はい...!」
小さく微笑み合い扉を抜け、モニターの前へ腰掛ける2人。
A「...ひとまずもう一度診てみましょう。」
五十嵐は「はい」と言って画面に蛭田真貴のマンモ画像を表示させる。
A「.....」
一見は顔付きの悪いしこり...
しかし何だろうか。
この胸の奥で感じる違和感は。
五十嵐「.....」
隣で同じくモニターを睨む五十嵐はしこり部分を拡大して画面に顔を寄せていた。
すると軒下がこちらへやって来て「どうなんだよ」と五十嵐へ声をかける。
軒下「その患者、中学の同級生なんだよ。」
五十嵐「...!...そうなんですか。」
軒下「それで?どうなんだよ。」
すると五十嵐は僅かに目を細めてから応える。
五十嵐「悪性の可能性があります。カテゴリー4...もしくは5...」
A「それに構築の乱れも見られます...」
軒下「...そっか...だからアイツ急いでたのか...」
Aは小さく頷き、「早くはっきりさせてあげたいんですけどね...」と付け足した。
軒下「...でも...お前あれだろ?安藤先生も...どーせいつもみたいにどうにかしちゃうんだろ?」
A「...今回ばかりは難しいかもしれません。でも諦めるワケにはいきませんので...!」
五十嵐「僕も技師として出来ることを探しています。」
そう言って再びモニターへ向かい合う2人。
五十嵐「...ん.....?」
A「...!...どうかされましたか?」
小さく声を漏らした五十嵐へ問いかける。
すると彼は画像を拡大してから呟いた。
五十嵐「...コアが不明瞭.....」
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ドクリ、と私の心臓が脈打つ。
そして、脳内には一番思い出したくない記憶が沸き起こってきた。
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奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時