105話 ページ9
.
売店でコーヒーを買い終え、エントランスへ足を進めていると、歩きタブレットをしていた五十嵐が蛭田へとぶつかっていく現場に出くわしたA。
体格差からか半分五十嵐が吹き飛ばされる形だったが。
その拍子に五十嵐が落としたタブレットをAは拾い上げ、彼らの元へ向かった。
五十嵐「...あっ!!...す、すみません!」
蛭田「いえ...こちらこそすみません...」
A「お二人とも大丈夫ですか?...五十嵐さん院内での歩きタブレットは控えて下さいよ。」
五十嵐「...あ.....は はい...」
若干しょんぼりとする五十嵐を見てAはクスリと笑い「落としましたよ」と言って液晶が光ったままの端末を手渡した。
蛭田「...!...お二人ともこちらの病院のお医者さんですよね?」
五十嵐「あ...彼女は医師で、僕は放射線技師です。」
それを聞くと蛭田は「あの!」と2人へ詰め寄った。
蛭田「僕の話、聞いて貰えませんか!?」
A「...!...は、はい。」
Aと五十嵐は一瞬顔を見合わせた後、コクコクと頷いた。
.
蛭田「...再検査、って簡単に言いますけど...専門の病院は予約を取るだけで何ヶ月も待たなくちゃいけなくて...」
蛭田を自動販売機がある休憩室へと案内し、今に至る。
蛭田「...もしかしたら、ガンかもしれないっていう気持ちで、何ヶ月も.....こうして待たされてる間に、ガンが進行して...ッ手遅れになったら.....」
そこまで続けると、「すみません」と言って蛭田は堪えきれなくなった涙をポロポロと零した。
A「あの、大丈夫ですよ...!ゆっくり話して下さい...!」
Aは少しだけ腰を浮かせて蛭田へ微笑みかける。
蛭田「ありがとうございます.....彼女のためなら何だってやるつもりです!!でも...何をしたらいいのか...」
それを聞いて五十嵐は眉をほんの少しだけ八の字にして応える。
五十嵐「...このケースはいわゆる"検診難民"と言われ、日本の医療の現状では残念ながら今すぐどうにか出来る問題ではないんです。
...何度も検査を受け、ハッキリわかるまで何ヶ月もかかってしまうことも多いんです...」
A「...その間に思い詰めてしまって、日常生活に支障を来たしてしまうケースも少なくないんです。...とにかく、今は冷静になって奥さんを支えてあげることが何よりも大切です...!」
.
920人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時