142話 ページ46
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A「...!...甘春先生、お疲れ様です。」
読影室へ足を進めた甘春は、コーヒーを口に含みながらモニターと向き合うAを瞳でしっかりと捉えた。
甘春「.....あ.......」
A「...?...どうかされました?」
この人が...あの、伊東A。
放射線科医ならば、いや、医療従事者ならば誰しもが知っている、あのーーーーー悲劇の秀才。
速すぎる、そして正確すぎる読影。
知識の量や、その応用方法。
思い返せば返すほど納得がいく。
どう考えたって研修を終えたばかりの新米なはずがないだろう。
ただでさえ、あの五十嵐さんが医者であったことに衝撃を受けているのに、頭がまともに動く自信なんてなかった。
甘春「.....いえ...何でもないです...」
A「そうですか...?...あ、私はまだもう少し残っていきます。甘春先生、お疲れ様でした!」
軽く頭を下げてくる彼女は、まだあどけなさが充分すぎるほど残っている。
甘春「...はい...お疲れ様、でした...」
甘春は進まなくなった思考から逃げるように、上着と荷物を持って読影室を後にした。
.....わからない。
五十嵐さんがいれば、父が言っていた理想のラジエーションハウスができるかもしれない...
そう思っていた彼は、私と同じ"医師"だった。
研修上がりなのに優秀な安藤先生...彼女と切磋琢磨して自身にも更に磨きをかけようと思っていた...
そんな彼女は、手の届かないほど遥か遠くを歩いている...ドクターズドクターの最前線を往くような人だった。
わからない...どう接すればいいか、わからない。
一度頭を冷やそう。
...久々にランニングでもして、リフレッシュしよう。
そう思い立ち、甘春は歩くスピードを早めた。
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奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時