139話 ページ43
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ーーーーー...?.....ーーーさん?.....ーーとうさん?
ーーーーーー伊東さん...!?
薄らと重い瞼を開けると、そこには心配そうにAの顔を覗く五十嵐がいた。
五十嵐「伊東さん...!!...大丈夫ですか...?」
A「...五十嵐、さん.....」
すると五十嵐はAとの距離感の近さから若干わたわたと慌て始めるが、そんな彼をを見てAはクスリと笑ってしまう。
A「...五十嵐さんは、本当にすごいです。」
五十嵐は「へ?」と言ってきょとんとした表情を浮かべている。
Aは「何でもないです」と言って笑い、肩に残る温もりを名残惜しくも手放した。
五十嵐「久美ちゃんは今鏑木先生が処置室で治療中です。伊東さんは体調があまり良くなさそうでしたので、それで、たまきさんに僕がついていろって言われまして...」
...た、たまきさん.....絶対わざとでしょう...
A「...そ、そうでしたか...ご迷惑をおかけしました。」
五十嵐「あの...あんまり顔色が良くないようですけど、大丈夫ですか?」
Aは少し視線を逸らしながら苦笑いする。
A「あー...お恥ずかしながら実は最近寝不足が続いていまして...」
五十嵐「そうだったんですね...僕も出来ることはお手伝いしますので!何でもお気軽に言ってください!」
ぐっと握りしめた拳を見せる五十嵐を見て思わず吹き出してしまうAであった。
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その後、久美の両親へ説明をすべく病室へ向かうA。
A「脳波を調べてみて、異常がなければひとまず安心かと...」
そう告げると、久美の父は「本当にすみませんでした」と言って頭を下げた。
久美の母は酸素マスクをつけて眠る少女の手を握り、独り言のようにぽつりと呟いた。
久美母「よっぽど嫌だったんですかね...検査が。急にハロウィンがやりたいって言い出したり、自分の子どもなのに時々何考えてるかわからない時があって...
苦しいのはいっつもこの子ばかりで。嫌なのに、何にもしてあげられなくて...」
A「.....」
...なんて言葉をかければいいんだろう。
子どもを持ったことがない、ましてや早くに両親を亡くしてしまったAには、彼女を救えるだけの言葉が見つからなかった。
「失礼します。」
そんな中、私を救ってくれるのはいつも彼だった。
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奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時