138話 ページ42
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A「...呼吸が浅くなってる.....久美ちゃん、大丈夫だからね。」
そう言ってAは回復体位へすべく久美の身体をゆっくりと横へ倒す。
そして腕時計へチラリと視線を落とした。
A「...痙攣が始まってからおよそ5分...」
ギリ、と奥歯を噛み締めていた時、外から声が聞こえてきた。
五十嵐「安藤先生!!聞こえますか!?五十嵐です!!」
A「...!!...はいッ!!」
五十嵐「久美ちゃんの今の状態は!?」
A「痙攣が続いています!恐らく5分くらいです!!」
五十嵐「呼吸はどうですか!?」
A「かなり浅いです!回復体位をとらせています!!」
五十嵐「呼吸が浅いなら下顎挙上にしてみてください!!」
A「...!!...わかりました!!」
...確かに、気道確保が最優先だった...
焦りにより最良の選択肢を選べなかったAは自身に僅かな憤りを感じたが、今はそんなことを気にしている間もない。
五十嵐「万が一嘔吐したら窒息や誤嚥の可能性があります!その場合はすぐに回復体位に切り替えてあげてください!!」
A「はい!!」
「久美ちゃん、しっかり」と声をかけながらドアが開くことを待つA。
しかし、ドクリ、と心臓を握り締められるような、あの感覚に思わず胸に手を当ててしまう。
A「...ッ!!...また.....」
...患者が苦しんでいるのに...自分の体調管理不足のせいで死なせるの?
冷や汗が傳う。
"失敗"は"死"を意味するのに。
ドクリ、ドクリと不吉な音が感覚を狭めて迫ってくる。
A「...嫌だ.....嫌だ...」
そんな中、"光"はまた私を救おうとする。
五十嵐「安藤先生!!聞こえますか!?今ドアを開けます、出来るだけ離れてて下さい!!」
A「.....わかりました...!」
五十嵐「ジアゼパムと酸素、あとストレッチャーと救急カート、それと小児科の先生を呼んでください!!」
こんな時でも、五十嵐さんは落ち着いてる.....
やっぱり.....五十嵐さんは.......
A「すごい...な.....」
エレベーター内に"光"が刺し、彼のシルエットが見えた刹那、意識が遠のいた。
慌ただしい声が聞こえる中、私が倒れないように誰かが支えてくれているような、そんな暖かさに身を任せてしまいそうになった。
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奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時