132話 ページ36
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五十嵐は「あの」と言って話を切り出す。
五十嵐「虫垂腫瘍なら高い確率でMRIのT2強調画像で内部が高信号であるため判別が出来ます。」
五十嵐の言葉に頷きつつ顎に手を当てるA。
A「確かに...でも虫垂腫瘍は痛みを伴わないはずですよね?だったら何故右下腹部に痛みが.....。...!!」
Aはハッとして顔を上げる。
彼女を見て五十嵐はこくりと頷き整った口端の角度を上げた。
五十嵐「恐らく造影CTではわかりにくい別の疾患...例えば回腸末端炎と虫垂腫瘍の併発というケースの可能性があります。」
A「やはり...その可能性が高そうですね...」
Aと五十嵐が情報共有を行っている後ろで、広瀬が「何言ってるか全然わかんない...」と呟いていた。
そんな中会話の意図を読み取った たまきがモニターで検査予定表を開く。
たまき「明日の最後、1件ねじ込める!」
A「...!...わかりました!ありがとうございます。」
そう言って読影室へ戻ろうとした時、Aは小野寺に呼び止められる。
小野寺「...その、大丈夫か?もしこの検査で虫垂腫瘍が見つかれば鏑木先生の診断否定することになるだろ?
.....しかも、否定すんのこれで2回目だろ?仕事やりづらくなるんじゃねェか?」
「2回目?」と広瀬が小首を傾げているが、Aはふっと破顔して応える。
A「だからと言って、もし本当に虫垂腫瘍だった場合取り返しがつかないことになります。我々は患者さんの命を最優先に考えるべきです。」
微笑みからへらりとした笑みに切り替えて続ける。
A「...それに、もともと上から目は付けられてるので大丈夫ですよ!」
小野寺「...ま、そう言うと思ってたよ。」
フッと笑ってから小野寺は歯を見せた。
Aは軽く会釈をして、白衣を靡かせながらラジエーションハウスを後にした。
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奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時