128話 ページ32
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Aは「辻村先生まで何言ってるんですか...!」と言って立ち上がると、先程たまきが置いていった資料の山に身体が当たり、床一面にそれを撒き散らしてしまう。
A「え、あ、す、すみません...!」
急いで資料をかき集めるAを見て彼はクスリと笑った後、床へ広がった紙を丁寧に拾っていく。
すると辻村は資料を拾う手を止めて、おもむろに口を開いた。
辻村「...安藤先生、もしよかったら今度一緒に食事でもーーーー」
そこまで続け、彼はAへと視線を向ける。
辻村「...安藤先生?」
A「.....ッ、ぐ...」
彼の視線の先には胸辺りを押さえて眉間にシワを寄せたAの姿があった。
辻村「安藤先生?大丈夫ですか!?」
A「ゲホッゲホ!.....すみません、ちょっと動悸が...」
辻村「寝不足なんじゃないかな...」
A「寝不足は否定出来ないかもしれません.....でも大丈夫ですよ!」
そう言ってパッと微笑み、Aは資料の山を元あった位置へと戻した。
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辻村が外来へ戻った後、ドクリ、とまた一度胸の辺りが苦しくなる。
「...う、ゲホゲホッ!...は、ァ...はぁ。......何だろう...やっぱり寝不足かな...」
はあ、と小さく溜め息を零し、最近の就寝時刻を思い浮かべる。
昨日は3時、一昨日は4時、その前も明け方頃だったような...
確かに辻村先生の言う通り寝不足なのかもしれない。
「これでも医者なんだから、自分の体調管理はしっかりしないとなぁ...」と独り言のように呟いた。
A「...あ、久美ちゃんの検査の時間...行かないと。」
そう言ってAは久美の病室へと向かった。
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A「こんにちは。...じゃあ久美ちゃん、検査行こっか。」
Aはベッドの隣に座る久美の母親に軽く会釈して微笑んだ。
すると久美は首を横に振って「やだ」と言う。
久美「暗いとこ...怖い。」
久美母「久美、ちゃんと検査しないとお薬が効いてるかどうかわからないんだよ?」
久美の母が優しく教えてあげても久美は首を横に振るばかりであった。
A「...大丈夫だよ。久美ちゃんが怖くないようにお姉ちゃんがずっとそばに付いてるから。」
頬を緩めて久美の手を握るA。
それでも少女は首を振り続けた。
久美母「先生、すみません...」
A「いえ...!」
その瞬間、久美の頻脈を告げるコール音が鳴り響いた。
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奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時