126話 ページ30
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五十嵐「.....」
ふと、脳内で彼女の声が再生される。
...
A「家族の繋がりは..."生きている限り"そう簡単になくなったりはしませんよ。」
...
小野寺「...あの言葉がちょっと気になってはいたけど、安藤先生が伊東Aだとわかってその意味が理解出来たよ。」
技師長は伏し目がちに呟いた後、視線を僅かに上げて続ける。
小野寺「.....まぁだからって今までと何も変わんねェだろ?」
五十嵐「...!」
小野寺「安藤先生が優秀な放射線科医だってだけだ。俺はそう思ってる。」
五十嵐「技師長...」
僕が微笑むと技師長も釣られるようにへらっと笑った。
小野寺「...っと...もうこんな時間じゃねェか。ほらカンファレンスの準備しとけよ。...あとタイミングあったら安藤先生にも声かけとくからさ。」
五十嵐「はいっ...!」
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あれから数十分後、カンファレンスルームでAがモニターの前へ立ち患者の病状を読み上げていた。
A「患者は魚谷久美ちゃん6歳。重責する痙攣発作で、9日前に救急搬送されてきました。運ばれてきた際にCT撮影を行ったところ、異常は見られませんでした。」
Aはリモコンでモニターを操作し、次のMRI画像のスライドをモニターへ表示させる。
A「...しかし、3日後にMRI撮影を行ったところ脳が木の枝のように光る"ブライトツリーアピアランス"がみられました。これは二相性急性脳症の特徴的な所見です。」
するとAは資料をめくりながら続ける。
A「今のところ視神経学的な異常は見られませんが...
フォローアップのため本日再度頭部MRIを行い、そこでブライトツリーアピアランスの消失と治療の効果を確認したいと思っています。」
鏑木「検査には安藤先生も立ち会って下さい。その場でブライトツリーアピアランスの有無を診断し、すぐに担当医に伝えることが出来れば親御さんも安心されるでしょう。」
A「わかりました。...ではこれでカンファレンスをーーーー」
ふと、Aは小野寺と目が合い、口を止めてしまう。
彼はただこちらを見ているだけだったのに、それでさえ何故か怖かった。
鏑木「...安藤先生?」
A「...!!.....ではこれでカンファレンスを終了と致します。」
鏑木の声に慌ててAはカンファの終了合図を告げた。
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奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時