125話 ページ29
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小野寺「最初は驚いたけどよ、まぁなんだ、アンタが伊東先生って言うんなら色々と納得がいく部分があるからな。」
A「えっ...どういうことですか?」
小野寺「どういうことって...そりゃ研修終えたばっかの新米医師っていうレベルの知識量じゃないだろアンタ。
...それに経験が無けりゃあんなに速く読影は普通出来ねェしな。」
A「.....あー...」
思わずAは苦笑を浮かべる。
五十嵐「...伊東さんは特に昔から読影が速くて正確でしたしね...」
小野寺はそんな2人の様子を見てから再びため息を零す。
小野寺「...まぁ、大抵人には1つや2つ他の奴には言えない秘密があるもんだからよ。」
五十嵐「あ、あの技師長...このことは誰にも、」
小野寺「言うわけねェだろ。」
2人は僅かにほっと息をつくが、Aには別の心配のようなものがあった。
"悲劇の秀才"という目で見られるのではないか、と。
もちろんAは小野寺を信頼している。
だが、かつて向けられた嫌悪や畏怖、同情の視線に敏感になりすぎた故にそんな不安感が拭い切れなかった。
五十嵐「...!」
ふと、Aの隣にいた五十嵐は彼女の異変に気が付く。
また"笑顔"という仮面を顔に被せていたからだ。
A「...すみません技師長、私読影しなければならないのでそろそろ戻りますね。...秘密にして頂けること本当に感謝します。」
小野寺「...ん?あ、ああ...」
「失礼します」と深く頭を下げた後、Aは逃げるように放射線室から出て行った。
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小野寺「...ワケ有りか。」
五十嵐「...!...彼女の場合は特にそうですね...」
僕は視線を地面へ落としてから呟く。
小野寺「...記事がどうの、っていうことが関係してんのか?」
やっぱり...技師長も知っていたんだ...
彼女がいない状態で話すのは少し気が引けるが、このことは知っておいてもらった方がいい気がする。
直感だが、そう思った。
それに技師長なら大丈夫だろう、と。
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小野寺「...なるほどな。」
僕はピレス教授から伺った話を少し小野寺さんへ伝えた。
すると技師長はポケットに手を入れたまま続ける。
小野寺「前に大樹がここに来てた時あっただろ?...ほら、健太郎くんの骨肉腫が見つかった時の。あの時にちょっと気になること言ってたからさ。」
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奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時