122話 ページ26
.
私は五十嵐さんへ「もう少しだけ風に当たってから戻ります」と言って微笑んだ。
彼はそれを聞くと頬を緩めてから一礼して去って行った。
屋上の扉が閉じる音を耳にすると、私は小さく呟く。
A「...叶うはずなんてないのに。」
私は一筋の雫を落とした。
先程までの苦しかった涙ではなく、
だって、そうでしょう?
諦めよう、この想いが届くはずなんてないでしょう。
そう言い聞かせる程に涙で溢れかえってしまう。
A「駄目なのに...五十嵐さんには、もう、いるのに......好きになっちゃ駄目なのに...ッ」
気付いてしまったんだ。
彼への気持ちが、"尊敬"だけではなかったことに。
五十嵐さんには子どもの頃から想い続けている人がもう既にいる。
それに、さっきも言っていたじゃあないか。
その約束を守るために、彼は使われる立場の"技師"という職にこだわっているのだ。
A「...う、う あ、ぁ.....」
私はその場へしゃがみこんで両手で顔を覆う。
気付かなければ良かった。
こんなに苦しいのなら、こんな気持ち知りたくなかった。
そう喚く程、身体に残った彼からの温もりを感じて、私はまた一層涙を流した。
A「..........う、ゲホ...ッ」
胸の奥が重く、苦しい。
深呼吸をしているのに何故か息をするのが辛く感じられる。
...ああ、こんなになるほど彼のことが好きだったんだ。
この時私は嘲笑したが、この苦しみが
.
920人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時