検索窓
今日:8 hit、昨日:37 hit、合計:205,887 hit

118話 ページ22

.



気が付けばわたしは父方の祖父母へと引き取られていた。


当然学校などあれから一度も行っていない。行く気になどなれなかった。




祖父母はどうにかわたしに元気になってもらおうと、色々としてくれていたがわたしは何も反応を示さなかった。





.




A「...なに、これ。」


そんな虚無の渦中だったある日、ふとわたしは1枚のディスクを見つけた。



わたしはそれのトレイを開け、ディスクをパソコンへと飲み込ませる。






A「...!.....これ...お母さんの...」




画面に表示されたのは、母のマンモグラフィ画像だった。

かつての担当医がセカンドオピニオンのためにかデータを焼いて渡してくれていたのだ。





わたしはその画像を見つめた。



見つめ続けていると再び涙が込み上げてきそうになったが、ガンのしこり部分に酷い違和感を覚え、衝動的に立ち上がった。





わたしは祖父の部屋へ走り、分厚い医学書を引っ張り出して自室へと急ぐ。


そして乳ガンについて書かれているページを開け、どんどんとページをめくり続けていく。







A「ーーーーえ、」









わたしはとあるページを見つけ、硬直した。









Radical Sclerosing Lesions(繊維が主体化の病変).....RSL.......?





特徴的な構造が浸潤ガンに類似する.....大きな病変に対してはComplex Sclerosing Lesionと呼ぶことを推奨する.....









良性病変(・・・・)の一つ?







難しい漢字が並んでいたが、わたしはひとつひとつ辞書で調べて理解した。


辞書を閉じたその時には、わたしの口からは乾いた笑い声が漏れ出していた。








A「...は、...あは は.....お母さん、ガンじゃなかったんだ。」






分厚い医学書へボトボトと涙が落ちていく。




わたしは泣き疲れてそのまま眠ってしまうまで、ずっと涙の雨を降らせ続けた。









両親を医者に殺 された、それも放射線科医に。






尊敬していたはずだったのに、なりたいと思っていた放射線科医に家族を殺 された。









わたしはその時決意する。









お父さんとお母さんを殺 した放射線科医になること。





そして、医学界を変えることを。









わたしは.......私は、あの瞬間から"悲劇の秀才"になった。




.

119話→←117話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (156 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
920人がお気に入り
設定タグ:ラジエーションハウス , 五十嵐唯織 , 窪田正孝   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

奏奏奏(プロフ) - きぇぇぇぇ!!さん» ありがとうございます!これからも頑張っていきます! (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
奏奏奏(プロフ) - レナさん» ありがとうございます!励みになります´`* (2019年7月30日 18時) (レス) id: 681665cbc9 (このIDを非表示/違反報告)
きぇぇぇぇ!! - ラジエーションハウスは大好きな作品(?)なので頑張ってください!(?) (2019年7月30日 17時) (レス) id: 5d428d39a9 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 待ってました。これからも頑張ってください。 (2019年7月16日 22時) (レス) id: 869c734d75 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:奏奏奏 | 作成日時:2019年7月16日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。