壊れても (ページ37)

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酔いが回ってきたころ、そういや、と正門が話を切り出した。

正門「今日、局で丈くんに会ったで。」

西畑「あぁ、そういや今日一人の仕事やったっけ？同じ局やったんや。」

正門「うん。終わってから体調悪いって言っとって。

車で来てた誠也くんが送ってってた。」

西畑「え？まじで？」

うん、と頷く正門は酒のせいかぽやぽやとしていて、

嘘を言っているようには全く見えない。

そして嫌な予想をしてしまう。

西畑「なぁ。今日の仕事ってさ、、、

＿局？」

うん、と頷く彼を見て、予想が現実に近づいた。

正門「なんかあったん？丈くん最近体調でも崩してるん？」

ごくっ、とジョッキを傾けながら少しズレた質問をしてくる。

でも俺がよほど酷い顔をしていたのだろう、心配そうな顔に変わる。

正門「どしたん、、、顔真っ青やで。」

西畑「なぁ、今日プロデューサーさん居った？」

おぉ、珍しく居はったで、と言われ、

予想は確信になった。

西畑「……あそこのプロデューサーさんさ、、、Domなんよ。そんで、丈くんはSubで。

前に、、プロデューサーさんに無理やりCommandを、、。きっと今日も、、。」

大吾、分かった、もうええ、、と正門に遮られる。

正門「……確かに、車に行くとき肩貸したけど、ぼぉっとしとって全然力入っとらんかったわ。」

Glareやっけ？と呟いているが、

俺はなにも喋れなかった。

丈くんが死んでしまうのではないかと思えたあの光景が脳裏に蘇る。

正門「大吾、大丈夫や。丈くんは誠也くんと居るから。なんとかしてくれはるよ。」

西畑「ｯ、、、そうやな。。ごめん。

飲み直そか。」

正門「大ちゃん笑っとったほうがええで〜」

西畑「うるっさいわ(笑)大ちゃんやめぇ(笑)」

正門は、かかかっ、と変な笑い方で笑っている。

誠也くんに任せて今日は楽しむか、と切り替えて、

追加で酒を頼むために店員さんを呼んだ。

高橋side

長尾「きょーへーくん！」

高橋「なーに？」

謙杜はなにも言わずに俺の横にぴったりとくっついて座る。

仕事から帰ってきた夕方。

西日が窓から斜めに差し込んでいる。

彼はにこにことこちらを向いて俺に向かって安心しきった顔で笑いかける。

付き合ったんやから下の名前で呼んでぇや、という俺の我儘を聞いて、

どちらかの家に居るときだけという限定で恭平くんと呼んでくれる。