壊れても (ページ34)

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末澤「ちょうどええ、正門、手伝ってや。

丈が体調悪い言っとうから俺の車に一緒に乗っけて帰るんよ。

俺一人じゃ運ばれへんわ。」

確かに極端に小柄な彼では、

力が思うように入らない俺を運ぶのは難しいだろう。

俺も世間的に見たら小柄なのだが。

ええっすよ、と爽やかな笑顔を見せる正門に甘えさせてもらう。

藤原「ごめんな。ありがと。」

肩を借りて椅子から立ち上がり、

駐車場までの道をゆっくりと進む。

車に着いて助手席に座る。

末澤「助かったわ。正門も乗ってくか？帰り電車やろ？」

正門「いや。俺は用があるんで大丈夫です。丈くんお大事にしてください。」

藤原「助かった。ありがとうな。」

じゃあ、と正門は歩いていってしまう。

末澤は運転席に乗り込んで車を発進させた。

俺はぐーぱーと手を動かして確認する。

どちらも何も喋らなかった。

家に着いた時は大分動けるようになっていて、

少し肩を借りて家に入れてもらいソファに座る。

藤原「……急に連絡したんに、ごめんな？」

末澤「ええって。たまたまおんなじとこで仕事あってよかったわ。」

ほい、とコーヒーが目の前に置かれる。

末澤「今日はとりあえず大丈夫やけどさ、これからどうするん？

あのプロデューサーさんには会わへん訳いかないやろ。

マネージャーさんには言ったん？メンバーには？」

藤原「まだ…マネージャーさんには言うてへん。信じてくれるか分からへんし、、。

メンバーは知っとる。前にみんな居る時にあの人来はったから。」

彼の言うことはもっともだった。

これからあの人に会わずに仕事をすることは現実的に不可能だ。

こんなことをマネージャーさんに言ったら仕事に支障が出る。

なにわの勢いを俺のせいで止めたくない。

もう八方塞がりだ。

藤原「俺のせいでみんなの仕事が減るなんてことにはしたくないんよ。

デビューしたばっかりやし、、、贅沢言うてる場合やない。

……もう、、どうしたらええん？

大橋も許してくれへんかもしれん。。」

丈！落ち着けって！と手首を掴まれて我に返る。

首がヒリヒリしていた。

Subの掻きむしりは精神的に不安定なサイン、と一般的に言われている。