壊れても (ページ31)

今日:15 hit、昨日:22 hit、合計:67,583 hit

28 ページ31

藤原「なんで俺にそんなこだわるんですか？

あなたほどのDomなら、いくらでも適当なSubが見つからへんのですか？」

俺が思ったよりもしっかりとした口調で話したからなのか、

少し不意を突かれたような顔をしている。

プ「ん？あぁ、まぁ、事故のことも思い出してん。

あんときGlareに当てられた君の顔は可愛かったで(笑)

ちょこっとしか会うてへんのになんか忘れられへんかった。

そしたら10年ぐらいしてテレビ局に居るやん。

まさかジャニーズとはなぁ。そりゃかわええ顔しとったはずや。

やからかな。俺のもんにしたいんよ(笑)」

Domの性やなぁ、と誇らしげに笑っているのに吐き気がした。

俺は高圧的なDomは嫌いだ。だから大橋と付き合っている。

そう。…そう。

……そうやんな？

藤原「そうは言っても、、俺にも心の準備をさせてほしいんです。パートナーが居るわけやし、、」

プロデューサーさんは高そうな腕時計をちらっと見て言った。

プ「藤原くん、話引き伸ばして逃げ切ろうとしてるんやろ。

俺やって暇じゃないんやわ。アホみたいに地道に口説くのは好きやないし。

言ってること分かるよな？」

怒っている。俺が小手先の話で逃げ切ろうとしたことに。

痺れを切らしたらしい彼は舌打ちをして俺の目を睨みつける。

Glareだ。

こわい。

つらい。

やめて。

たすけて。

…最初はそんな感情だった。

でも、そんな思いの奥に、

気持ちいいと思っている自分を見つけてしまった。

プ「Kneel(跪け)」

力強いGlareとCommand。

逆らおうという気すら失わせる、Domらしい落ち着いた声色。

抵抗できずに、ぺたん、と俺は床に正座した。

プ「俺と付き合うよな？

……Say(言え)」

最近精神が不安定な原因が分かった。

分かってしまった。

俺はあのときこの人のCommandを受けてから、

高圧的な命令を心のどこかで求めていたんだ。

大橋を好きな俺と、本能に従いたい俺。

その気持ちの板挟みになって俺は摩擦で傷つく。

大橋の俺だけを慈しむようなGlareではなく、

圧倒的にSubを従わせるためだけに放つGlare。

抗って、抗って、あぁ、、と小さく声が漏れる。

プ「ﾁｯ、、、Say(言え)！！」

息が出来ないほどのGlareを放たれる。

従いたい、なんて生半可な気持ちではなく、

従わなければ、というSubとしての本能に思考が支配された。