壊れても (ページ27)

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未だ、おねがい、と泣きながら繰り返す謙杜に俺は腹をくくった。

高橋「謙杜？Look(俺を見て)、、」

謙杜の目は不安そうに揺れる。

俺は精一杯の威厳を持って目を合わせた。

高橋「ｯ､､謙杜、GoodBoy(いい子)」

謙杜の手は震えたまま。体は怠そうに俺に預けたまま。

NormalがDomの真似事をしたところで、

それは空虚な戯れなのだ。

はぁはぁと乱れた呼吸をする謙杜の背中を擦る。

少し落ち着いたところでバッグから薬を取り出して飲んでいた。

なにもできなかった、とソファに座って俯く。

すると声をかけられた。

長尾「……高橋くん、俺じゃ幸せに出来んって言うてたけど、オレは好きな人と居りたいな。」

高橋「…でも、、俺じゃあほんまになんも出来んよ。」

そう。俺に何ができる？何ができた？

長尾「オレ、Subの人ともDomの人とも付き合うたことあるんやけど、

いっつも言われんねん。

『どっちつかず』って。そんでフラれんの(笑)

俺がランク低いせいかもしれへんけどな。

今、オレが落ち着いてんのは背中擦ってくれて、薬飲めたからやで。

高橋くんのおかげやもん。

関係ないよ。Normalとか。好きになったんやもん。」

関係ない、なんてきっとそんなことはない。

でも謙杜がそう言ってくれた事が嬉しくて。

一緒に居たい。もうどうしようもないぐらい謙杜が好きだから。

高橋「おれも、、、けんととおりたい、、。好きになったから、。」

ソファに並んで座り、悲しいキスをした。