壊れても (ページ16)

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藤原side

あのプロデューサーさんのことは初めて会ったときからずっと引っかかっていた。

謙杜と同じくひと目見ただけでランクが高いDomだ、とは気づいたが、

どこか他で会ったことあるようなそんな気がしていた。

朝起きて2人分のコーヒーを淹れながら考える。

そしてGlareを思い出したとき、

同じGlareを感じた記憶があることに気づいた。

あ、と声を上げた俺に大橋が近づいてくる。

大橋「丈くん？どした？まだ首痛い？

コーヒー溢れそうやで！」

藤原「事故った時の人や。運転手さんや。」

危ない、と鍋を取り上げられたがお構いなしに話し続ける。

藤原「俺が高校生んとき事故った車の人や。俺のこと覚えとったんちゃうか。」

今考えればあの程度の用であれほどの地位の人が、

俺たちの楽屋にわざわざ来るのはおかしかった。

大橋がいない、と聞いた時目が光ったのはそのせいか。

NormalとSubとSwitchだけなら、

Domを従わせるよりも簡単に支配できるから、、、

丈くん？と顔を覗き込んでくる大橋に不安をぶつける。

藤原「なぁ、今日もテレビ局前と一緒よな。」

大橋「前？」

藤原「ランク高いDomのプロデューサーさんがおるとこ。」

あぁそやね、と言われ怖くなる。

また来たら、

今度は本格的に支配されたら、、、

大橋「丈くんSettleDown(落ち着いて)

……Look(俺を見て)」

視線が大橋に吸い寄せられる。

大橋「そ。GoodBoy(いい子)

大丈夫。俺が居るから。

だから一回考えんのやめて、落ちつこ？」

ね？と言われ、呼吸が浅くなっていた事に気づいた。

はぁっ、とゆっくりを息を吐いて気持ちを落ち着ける。

藤原「ありがと。」

大橋の声は安心できる。

昔付き合ったDomは上から支配しようとしてきて、怖かった。

Commandに遅れれば怒られる。

SafeWordも守ってくれるか分からない。

Subのそんな扱われ方は世間一般ではある程度普通だったが。

こいつなら大丈夫、と思えるようになれて本当に嬉しい。

少しぬるくなったコーヒーを飲み、トーストをかじる。

そして、一緒にドアを出る。