この雨に打たれたのは ページ35
『はぁ……。』
とある街で車椅子に乗った少女がため息をした。
久しぶりに外に出たからなのか、ただ気分が落ちているだけなのか…それがわかるのは彼女のみ。
始業式だが例年通り桜が散っており進むのが大変だ。
「あの、これ落としましたよ。」
背から声をかけられ後ろを向くと青年がキーホルダーを持っていた。
『あ…すいません。』
まだ足が動いたときにクラスメイトに渡されたチケットで行った水族館で買ったものだ。
「いえ、平気ですよ。…そのキーホルダー僕も持っているんですよ。」
『…いるか、好きなんですか?』
少し、彼女の目が光った。
「…えぇ、好きですよ。」
彼は眉を下げ笑った。
『本当ですか…!私いるか好きで、よく水族館に行ってたんですけど…この足で。』
自分の足を撫でながら下を向く。
「…なら、僕と行きますか?」
『え?』
急に言われ驚いたような表情を浮かべる。
「いや、その…初対面なのに何言ってるんだってなりますね…。」
『いえ、なら…キーホルダーを拾って下さったお礼…というので良いでしょうか…私も久しぶりに行きたいので…。』
「……わかりました。…ん"ん"。お名前は…。」
『あ、雨弓Aです。雨に弓で雨弓でAです。』
思い出したように声を出す。
「…雨弓さんですね。僕は剣持刀也です。」
___よろしくお願いします。
時に囚われた少年
過去を捨てた少女
これからはもう雨に打たれることはないだろう
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安海 - kuruさん» kuruさんコメントありがとうございます!こちらも最後まで楽しんで呼んでもらえるように駆け抜けていきますね! (2022年11月8日 18時) (レス) id: a1ab37ebe0 (このIDを非表示/違反報告)
kuru - 初コメしつれいします!とても面白かったです!作者様が終わりを#4か5と仰っていてもう少しで悲しいですが最後まで楽しく読んでいきます! (2022年11月8日 16時) (レス) id: a853518736 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:安海 | 作成日時:2022年10月24日 19時