海の住人は砂漠で踊る ページ38
迷うことなく談話室に向かっていったアーシェングロット先輩を追いかけると
そこには、いつも通りの穏やかな顔をしたカリム先輩がいた。
今日は、大丈夫…みたいだ。
カリム「おぉ、なんでアズールがここにいるんだ？」
アズール「貴方の魔法の絨毯を捕まえましてね。
お届けに上がったのですよ。」
カリム「えぇッ…アイツ、また勝手に逃げ出したのか…
そいつは手間をかけたな。」
アズール「いえいえ。それより、今年スカラビアは
ホリデーを寮で過ごされるとか。」
カリム「あぁ。もしかして、お前たちもか？」
アズール「えぇそうなんですよ。
と、いうことで…
この機会を利用して、オクタヴィネルとスカラビアで
親睦を深める合宿をいたしませんか？」
カリム「おぉ…！そいつはいいな！」
ジャミル「なっ…」
『……』
動揺。普段から冷静な分、こういう感情の起伏は分かりやすい。
疑いだすと、今まで冷静な判断力を欠いていた自分を殺したくなる。
少し考えれば、意外と辻褄はあってくる。
一つ、大きな仮定を据えれば。
もう少し、揺さぶりをかけてみるか。
『よかったですね。ジャミル先輩。
これで少しは、カリム先輩のストレスも減りますよね。』
ジャミル「…俺は反対だ。」
『何でですか？』
ジャミル「他の寮に追いつくために、わざわざ休みを潰して特訓してるんだ。
それなのに、他寮の寮長を招き入れていては本末転倒だ。」
『あれ、僕たちをここに連れてきたのって
ジャミル先輩、でしたよね。
僕たちも一応、他寮の生徒ですよ。』
ジャミル「それは…」
彼らしくもない。
何かを打開するため、必死に言葉を選んでいる。
ここまでオクタヴィネルの介入を拒むことに
この人が、何の理由も持っていないわけがない。
アズール「Aさん。そんなに彼を言葉攻めにしては可哀想ですよ。
本当にご迷惑のようですし、残念ですが
僕らはこれでお暇しましょう。
皆さん、特訓頑張ってくださいね。」
そういうと、あっさり背を向けて
スカラビアの外へと歩みを進め始めた。
何を考えているのか、大体見当はつくが
人の善意を利用するとは、つくづく性格が悪いな。
アズール「はぁ……極寒の中、今年も3人ぼっちのホリデーですか。
ま、仕方ないですけど…」
ジェイド「頑張って魔法の絨毯を捕えたのですがね…」
フロイド「モストロ・ラウンジも滅茶苦茶になったのになぁ…」
「「「はぁ〜…しょんぼり。」」」
カリム「…ちょっと待った！」
ほら、彼らの思惑通りだ。
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ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………！更新楽しみにしてます！ (2022年9月24日 18時) (
レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か？？？好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ！ (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天空の巫女 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時：2021年8月1日 22時
