逃走劇の幕開け ページ30
特訓終了後。
僕たちを部屋に押し込めた寮生すら、意気消沈するほどの疲労感。
それ以上の訓練をさせられた僕も、疲れてはいたけど
そんなの、どうでも良くなるくらい
心が死にそうだった。
グリム「A…」
『…ごめん、もう…どうでもよくなっちゃった。
スカラビアがどうなろうと…知らない。
カリム先輩は…最初から……』
グリム「お前らしくもないこと言うんじゃないんだゾ！
しっかりしろ！
お前には俺様がいる！俺様が、いつでも傍にいてやるから…
だから、元気出すんだゾ…！」
『グリム…』
グリム「今すぐ此処から出るしかねぇ！
待ってろ、今床に穴をあけてやる！」
昨日と同じように、スプーンを使って
必死に床を削るグリム。
逃げたって、どこに行くんだよ。
何も変わらない。どこにも行けない。
僕の望みなんか、どこに行ったって聞かれもしないのに。
グリム「おい、おいA！
見ろ！ついに床に穴が開いたんだゾ！
そんなにでかくは開けられなかったけど…
お前細いし、頭が通れば大体の穴は通れるって相場が決まってるんだゾ。」
『…それ、肩の間違いでしょ……』
グリム「…俺様が先に出て引っ張ってやる。
さっさとこんなとこおさらばするんだゾ！」
『え、ちょっと…』
僕の声も聞かず、開けた穴から部屋の外に飛び出し
思わず伸ばした僕の手を、思い切り引っ張って
こっちをひき肉にでもするかの勢いで
小さな穴から、僕を部屋の外へ引っ張り出した。
『…どこ、行くっていうの。』
グリム「オンボロ寮に帰るんだゾ！
ゴーストたちに会えば、お前だって…」
「なんだ今の声は！？」
「オンボロ寮生たちの部屋の方だ！」
グリムの声が聞こえたのか
数人のスカラビア寮生が、こちらに向けて走ってきた。
気づかれるのが早すぎる。
グリム「ふなッ！？や、ヤバいんだゾ…！逃げろ〜！！」
『…グリムが、せっかく穴…あけたけど…』
グリム「俺様の努力を無駄にする気か！早く逃げるんだゾ！」
『…！う、うん…』
グリムの言葉に、身体が勝手に動いた。
本気で走れば、大抵の寮生に追いつかれる心配はない。
けど、一旦ルートを考えないことにはどうしようもないということで
近くにあった部屋に飛び込んだ。
真っ暗で、何も見えない部屋だったけど。
『ここ、何の部屋…』
と、一歩踏み出した瞬間。
右腕が何者かに引かれた。
グリムじゃない。今グリムは僕の肩に乗っているから。
あれ、この感じ…どこかで…
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ゆる(プロフ) - 続いてほしいです………！更新楽しみにしてます！ (2022年9月24日 18時) (
レス) @page47 id: 3e63e5a771 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 天才か？？？好きです。 (2022年4月4日 21時) (レス) @page47 id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ナギ(プロフ) - 更新たのしみにしてますっ！ (2021年9月10日 16時) (レス) id: 2f778f3504 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 惚れた、、、フロイドくんやっぱりすき、、、更新楽しみにしてます……！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天空の巫女 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時：2021年8月1日 22時
