義勇さん好き集まれ！義勇さん短編集〜 第１弾

10月31日に一緒に過ごしてみたら… ページ20

口の中が空っぽになった義勇くんは

また板チョコを口にほおりこむ。

私も食べようかな、そう思った次の瞬間だった。

「チュ。」

突然のことだったから、気持ちがいっぱいになった。

口元に残る、チョコレートの甘味。

重なった唇はどこか熱を帯びているように思えた。

唇が離れた後、お互いの顔が真っ赤だったことに気づく。

義勇「すまない、いきなり…忘れてくれ。」

顔をプイっと背けたから、義勇くんと目は合わない。

私はそれが少し切なくて、もどかしくて、

ギュっと義勇くんの手を握った。

(名前)「私、嫌じゃないよ。

　 義勇くんに触られると確かに恥ずかしいけど、

　 それくらい嬉しいって感じるの。

　 義勇くんも同じだといいなって思うんだけど、

　 義勇くんは私とこういうことするの嫌かな？」

私が握った彼の手は、私の手を上からギュっと強く包み込んだ。

それから私と彼の目線はバチリと合った。

義勇「嫌じゃない。

　 俺ももっと(名前)に触れたい、キスがしたい…

　 もちろん、それ以上のことも…興味がある。」

私は心を許して、「いいよ」というように

義勇くんの大きな背中を抱きしめた。

少しずつ、少しずつ、変わっていった。

触れるだけのキスから舌を絡める甘いキスに。

床に座り込んでいたところから柔らかいベッドに。

ハロウィンの夜にふさわしいと言うように、

窓の外に輝く月は怪しくも綺麗だった。

(名前)「んっ、ふ…んぅ…。」

私と義勇くん以外に誰もいない空間には、

いやらしい水音がやけに大きく聞こえる気がした。

首筋に顔を埋めた義勇くんはガブリと私に噛みついた。

それはさながら、月夜の夜に血を求めるヴァンパイアのようだ。

体は火照り、力が入らない。

視界は、恥ずかしさと嬉しさで濡れた涙で少し歪んでいる。

唇は、義勇くんの熱くて甘い口づけを受け入れている。

どの感覚も初めての感覚で戸惑った。

でも…すごく温かくて、幸せで、愛おしかった。

義勇「お菓子はいらない。(名前)、お前だけが欲しい。」

最後にそう言っておとした口づけは、

時間が経った今でも指で唇に触れると思い出す。


宇随「冨岡もけっこう独占欲があるんだな！

　 派手でいいと思うぜ、俺は！」

甘露寺「痛そうだわ、大丈夫？

　 でもこれが冨岡くんの愛の形なのね！素敵だわ！」

義勇「……。」

(名前)「……。」

つけられたキスマークは何日経っても消えなかった。

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