空が眩しかったから。【有栖川誉】 (ページ5)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:4,052 hit

5 ページ5

・

彼女は、週に3日ほどこの店を訪れるようになった

決まって頼むものは私がオススメしたコーヒー

「Aは、どの辺に住んでいるのだ？」

「天鵞絨町から3駅くらい上ったところですよ」

わざわざ天鵞絨町まで来ているのかと尋ねれば、ここのコーヒー美味しいですし、誉さんと話が出来るのも楽しいですからね

なんて、

彼女が、少し動く度に淡い髪の匂いが鼻を打ちワタシの心はまたぐらりと揺れるのだ

ある時は、スーツではなく私服で店に訪れた

「今日は普通にプライベートで来ました、大学がお休みなのと自主休暇です」

「内定が決まってないのに大丈夫なのかい？」

「誉さんは気にしなくて大丈夫ですよ、私自身の問題なので」

いつも通り私の隣に座って、今日はアイスティーとショートケーキを頼んでいた

甘いものが好きなのか、

そう思った

普段は肩まで降りた髪の毛が今日は高いところで括られていて、またワタシの心もゆらゆらと揺さぶられるのだ

________あぁ、好きだな

自分でも口角がすっと上がるのが分かるほどワタシの顔は緩みまくっていた

一目惚れだったとしても、こうして関わっていく度に彼女に惹かれ続けていくのは事実だ

毎回新しい発見と新しい気持ちに気付かされる

これは、詩に使えそうだな

なんて、考える余裕もないのだが

「誉さんもケーキ食べたらいかがですか？美味しいですよ」

「では、私も何か一つ食べるとするかね」

チーズケーキを頼んだ

久しぶりに口にする甘い甘い洋菓子は何だか悪くはなかった

今日も、空が眩しいな