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「…化粧室行って来る」
剛典にそう伝え、私はその場から逃げ出した。
「はぁぁ…っ……」
格子扉の対角線にある
パウダースペースのような大きな鏡。
左側の女性用扉に手を掛ける直前、
その鏡に映った自分の顔を見て
長く小刻みなため息が出た。
映し出された随分と情けない顔。
言ってしまえば
ここまで平静を保てなくなるなんて
思いもしなかった。
サブバッグから取り出したのは戦闘用の口紅。
そう。わざわざ戦闘用。
「…あっ」
口紅を取り出したと同時に
あの“USB”が洗面台に転げ落ちた。
「A」
その時、鏡越しに視線が重なったいい男。
…なんで来るのよ。
心の中で憎まれ口を叩きながら
それでも脈が心地よく弾んでいる。
こちらに歩み寄った広臣が、壁に寄りかかった。
「この間、本当に大丈夫だった？」
「ええ。…助けてくれてありがとう」
直人は
広臣は直人の存在を知らない。
それをいい事に
あれは
「ああいう事、よくあんの？」
「……さあ？」
わざわざ意味ありげに、わざわざ見栄を張って。
でもそんなの
私より
私はいつになったら学習するんだろう？
「A、無駄に色気あるからなー」
“気を付けろよ？”
伸びた左手が、私の髪を肩の後ろに流した。
髪の毛に神経なんてないはずなのに
まるで“感覚”を得た様に一気に熱を持つ。
「
どんなに気張っても
制御不能になった脈の速さに私は勝てなかった。
「っと、あっぶね」
たじろいだ私は
よろけた身体ごと支えられる。
香るウッディー。
厚みが増した胸板。
インプットされたばかりの筋肉。
目の前に浮き立つ首筋は
遠い昔、何度も辿った事がある……。
私は馬鹿だ。
この期に及んで
そんな事まで思い出すなんて。
「……これ、Aの？」
洗面台に放置しっぱなしだったUSB。
私の身体を解放しながら
意味深い視線だけが私を逃さない。
「ううん、鞄の中に入ってた」
広臣の表情が一気に険しくなった。
「Aこれ………」
広臣は、それをハンカチで包み隠し
後ろポケットにしまい込んだ。
「多分……盗聴器」
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空(プロフ) - kotanonさん» 更新遅くなってすみません^^;ありがとうございます！３も、お付き合い頂ければ嬉しいです＾＾♪ (2020年6月24日 7時) (
レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
kotanon(プロフ) - 空さ〜ん☆更新ありがとうございます！！ これからの展開も楽しみにしてます♪♪ (2020年6月24日 0時) (レス) id: 3c70e90779 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ねーやんさん» お久しぶりです！お手間とらせてすみません^^;移行になります！よかったらまたよろしくお願いします＾＾ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ユキさん» 行きましたよ―笑ついでにATMもｗｗ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - わ…びっくりしました(笑)お久しぶりです。久々すぎても一度読み返しまーす(笑) (2020年6月21日 22時) (レス) id: 8f158f058f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月8日 16時
