093 side you ページ43
隣で眠る剛典の目の下には
薄っすらとクマがあった。
私より
どんなに私がその瞼を撫でようと
規則正しく呼吸をしていた。
“もう、後戻りさせないよ？”
“…お手並み拝見ね？”
“じゃ、早速…”
恋人として結ばれた時間。
それはひどく甘美で、ひどく妖艶だった。
―A。
―A。
そう囁く声が、いつもとは全く別物に感じて
気恥しいと言うか、歯がゆいと言うか
“恋人”というポジションがあまりにも清く感じて
他人事の様な気すらしていた。
身体の至る所に咲いた愛の印。
“俺のAだからね？”
“もう臣さんと二人で会わないで”
剥き出しの嫉妬心と独占欲は
快感へと変化していた。
その日を境に
明確に関係性が変わった私達。
「A、コーヒー淹れてくれない？」
何気ない
これまでだって何度も言われたその言葉に
副社長室では「はい」と答え
マンションでは「ん」と答える。
たかがそれだけの事なのに
それでも小さな幸せを感じてしまう私は
相当心が乾いていたのだろう。
「おはよ、A」
「…おはよ、剛典」
その香りを肌で感じ、噛みしめる。
表現するならオーシャン。
爽やかな中にほろ苦さと微かな甘さを感じる
剛典の香り。
その日の朝日は一段と輝いていて
窓際にある観葉植物の葉先から滴る雫は
宝石の様に煌めいていた。
朝日が差し込んだリビング。
テーブルもソファーも
ほんの少しだけ白み掛っていて
昨夜から置きっぱなしのワイングラスですら
神聖に感じるほどだった。
そんな土曜の朝。
剛典の部屋の、剛典のキッチン。
豆を挽く私の背中に寝ぼけ眼で項垂れる剛典が
愛おしい。
「…座ってればいいのに」
「…ふっ、嫌いじゃないクセに」
私を覗き込んで、にっこり笑ったその顔が
愛おしい。
豆の香りを堪能する私を
いかにも“恋人”らしい眼差しで見守るその顔が
愛おしくて堪らない。
ソファーの前。
体育座りの剛典は片足だけ投げ出し
呼び寄せた私をそこに納めた。
「んま」
お揃いで買ったばかりのマグカップ。
昨夜の余韻を引きずる朝。
「天気いいし、ドライブでも行くか？」
出逢った頃
まさかこんな朝を迎える事になるなんて
思いもしなかった。
幸せ過ぎて怖いとか、思うなんて。
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空(プロフ) - kotanonさん» 更新遅くなってすみません^^;ありがとうございます！３も、お付き合い頂ければ嬉しいです＾＾♪ (2020年6月24日 7時) (
レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
kotanon(プロフ) - 空さ〜ん☆更新ありがとうございます！！ これからの展開も楽しみにしてます♪♪ (2020年6月24日 0時) (レス) id: 3c70e90779 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ねーやんさん» お久しぶりです！お手間とらせてすみません^^;移行になります！よかったらまたよろしくお願いします＾＾ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ユキさん» 行きましたよ―笑ついでにATMもｗｗ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - わ…びっくりしました(笑)お久しぶりです。久々すぎても一度読み返しまーす(笑) (2020年6月21日 22時) (レス) id: 8f158f058f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月8日 16時
