071 side H ページ21
「なぁ隆二。
届きそうで届かなくて諦めた女って、居る？」
「え？紗希ちゃんと上手くいってないの？」
「…紗希じゃないよ。昔の女」
7年前。
“もっと上を目指したい”
絵に描いたような
凛とした佇まい。
自分の足で生きたいというスタンス。
「Aごめん、残業になった」
「分った。頑張ってね？」
仕事へ対する理解度がこの上なく高く
スケジュールのズレから起りがちなトラブルなんて
一切なかった。
「登坂の彼女、マジでかっこいいよな」
仕事終わりのデートだったあの日
居酒屋で同期に遭遇して以来
Aへの評価は急上昇だった。
綺麗で、かっこ良くて、
仕事に理解がある歳上のいい女。
登坂の
相当気分が良かった。
Aが恋人だというだけで
自分のステイタスも上がった様な気分。
「どこにも行くなよ？」
「約束は出来ないわ？」
釣れないセリフを口にしながらも
その瞳からは誘う様な甘美な艶が溢れていて
俺だけが知っている“女”の一面に
優越感を味わっていた。
「…ったく。かわいい
Aの瞳には魔力がある。
「おいでA」
その時ばかりは従順で、素直で
感情の全てをさらけ出しながら愉しむA。
「広臣…」
それでいて受け身ばかりではなく
取説があるんじゃないかと思うくらい
いとも簡単に俺を歓ばせる。
「…えっろ」
「ふふっ、好きでしょ？」
「…大好物」
わざわざ余裕なフリをする。
気付いた時
俺はもう、後戻りできない所まで
Aにハマっていた。
約束していた日に
例え急な仕事が入って会えなくなったとしても
イラつく事なんてこれまで無かった。
会えない日が続いた時
どうにか調整してくれないかなんて
これまで思った事も無かった。
俺が知る限りではこういう時
泣いて“会いたい”というのはほぼ女の方で
それを疎ましく思う事だってあった。
だからこそ。
“会いたい”と言いそうになる自分を押え
大人のAに相応しい
大人の自分を作り上げようと必死で背伸びしていた。
「登坂今日ブラックなの？」
「ブラックの方が味解るだろ？」
それがどんなに幼稚な発想だと解っていても
Aに肩を並べたくて
Aに子供だと思われたくなくて
無駄にもがいていた。
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空(プロフ) - kotanonさん» 更新遅くなってすみません^^;ありがとうございます！３も、お付き合い頂ければ嬉しいです＾＾♪ (2020年6月24日 7時) (
レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
kotanon(プロフ) - 空さ〜ん☆更新ありがとうございます！！ これからの展開も楽しみにしてます♪♪ (2020年6月24日 0時) (レス) id: 3c70e90779 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ねーやんさん» お久しぶりです！お手間とらせてすみません^^;移行になります！よかったらまたよろしくお願いします＾＾ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ユキさん» 行きましたよ―笑ついでにATMもｗｗ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - わ…びっくりしました(笑)お久しぶりです。久々すぎても一度読み返しまーす(笑) (2020年6月21日 22時) (レス) id: 8f158f058f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月8日 16時
