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「ふぅーっ、気持ちいいーっ!」





狭い浴槽に二人。
縦並びで私は広臣に背を向けていた。



「A」
「なに?」

「Aーっ」
「なによ」

「Aちゃーん?」
「だから、なに?」





振り返った私がバカだった。


少しだけ湿った広臣の髪は
いつも以上に色気を撒き散らしている。


慌てて顔を戻したら、
今度は後ろから寄りかかるように腕を回された。



「あの後、どうしたの?」

決して怒ってはいない優しいその声が耳元で囁く。



「気付いたら、剛典の家だった…」

広臣の前で剛典の名前を出す事に
戸惑いを感じたのは初めてだった。



「へぇ?それでそんな顔してんの?」

くるりと向き直され、私は広臣の腿の上。
見下ろした広臣がやけに艶めかしく感じる。



「そんな顔って何?」

言葉や態度とは裏腹に
広臣の瞳の奥は自信なさげに揺れていた。



「…恋焦がれる女の顔」



広臣の目に

私がそう映ったのなら、

それはきっと、剛典のせいじゃない。






それはきっと……








広臣の肩に腕を乗せ少し距離を詰めた。

優位に立ったのはその一瞬だけ。




広臣の目が変わる。

後頭部に回った大きな手が私の自由を奪い
やっと触れた唇に安堵する。



必要以上に熱がこもったバスルーム。


その動きを夢中で追い、

その熱を夢中で感じた。












結果。

のぼせてしまった。




「…広臣、お水…」


バスタオルに包まれ、ソファーに寝かせられた私に
口移しで飲まされた水が首筋を伝い、

それを追いかけた広臣の道筋が、じんわりと痺れた。


「…やめてよ」
「はいはい」

ククッと肩で笑った広臣が私の前髪をかきあげた。


「A、今日飲んでないよね?」
「…飲んでないよ?」
「ふーん?」


広臣の“ふーん?”は
なんでこんなに可愛げがあるんだろう?

朦朧とする意識の中、
いつかの“ふーん”を思い出していた。


あの時は涼太。
今日は剛典。


ストレートに向けられる嫉妬が少しだけ嬉しい。


「A、今日ココ泊っていい?」
「いいけど…」
「けど?」
「………もう、しないよ?」



「ばーか」

私の頬を抓んだ広臣の瞳は
これでもかというくらい優しかった。


「着替え、取って来るわ」

そう言って立ち上がった広臣。

「待って!」




………行かないで





そう言いそうになって、気付いた。








「あ…アイス、食べたい」

「わかった。買ってくるよ」





私…広臣が………

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設定タグ:三代目 , 登坂広臣 , 岩田剛典   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - ユキさん» ありがとうございます^^ライブは、このお話の030での登坂さん風に“ご想像で”です(#^.^#) (2020年1月27日 16時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 空さんのストーリー大好きです三代目perfectyearライブは観に行く予定はありますか?私は京セラ観に行きたいけど倍率凄く高いですね(´;ω;`) (2020年1月27日 12時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ユキさん» 楽しんで頂ければ幸いです^^ (2020年1月26日 19時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 三代目メンバーのストーリー大好きです(*ゝω・*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - shireyさん» ありがとうございます(^^♪ (2020年1月26日 13時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月18日 10時

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